2021 Fiscal Year Research-status Report
心外膜前駆脂肪細胞の分化誘導による量と質の制御~心房細動の新たな治療戦略~
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21K16092
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
安部 一太郎 大分大学, 医学部, 客員研究員 (00747595)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 心外膜脂肪 / 心房細動 / 前駆脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の学術的「問い」は,「心外膜由来前駆脂肪細胞を特定の脂肪細胞へ分化誘導する方法を開発すれば,心房筋に浸潤する心外膜脂肪の量を減らし,質を改善させることが可能になり,心房細動の基質を形成する心房線維化を制御できるのではないか?」である。学術的「問い」を解決するには,“心房筋に浸潤する心外膜脂肪”において,①ヒト心外膜由来前駆脂肪(間葉系)細胞をベージュ脂肪へ分化誘導する技術と,②動物生体モデルを用いて,心外膜脂肪を同定し,前向きかつ詳細な解析を行う技術が必要である。心房組織培養モデル,動物生体モデルで検討を行う。心外膜由来 前駆脂肪(間葉系)細胞を用いた解析:開心術の際に得られるヒト心房組織初代培養 前駆脂肪細胞を用いて,心外膜由来前駆脂肪細胞へ分化誘導を行う。経時的に,細胞染色による観察と,マイクロアレイ法,RT-PCR法を用いて,mRNA発現の網羅的解析と比較を行う。ヒト心外膜由来前駆脂肪細胞が,どのような経時的変化を経て,分化誘導されるかを明らかにする。さらに,マウス生体モデルを用いて,脂肪細胞の分化誘導を行う。組織学的・生化学的に分化誘導,脂肪の量・質の変化を評価し,検討を行う。生体において脂肪細胞が分化誘導される割合や分布,時間,また脂肪組織自体の量と質,を明らかにする。本研究の成果は,“心房筋に浸潤する心外膜脂肪の量と質の制御”を目的とした新たな治療法を将来的に可能とし,心房細動の治療を飛躍的に向上させることへの布石となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで,ヒト心外膜由来前駆脂肪(間葉系)細胞を用いた解析として,開心術の際に得られるヒト心房組織初代培養 前駆脂肪細胞を用いて,心外膜由来前駆脂肪細胞へ分化誘導を行った。経時的に,細胞染色による観察と,マイクロアレイ法,RT-PCR法を用いて,mRNA発現の網羅的解析と比較を行っており,ヒト心外膜由来前駆脂肪細胞が,どのような経時的変化を経て,分化誘導されるかを検討している。さらに,マウス生体モデルを用いて,脂肪細胞の分化誘導を行い,組織学的・生化学的に分化誘導,脂肪の量・質の変化を評価し,検討を行っている。生体において脂肪細胞が分化誘導される割合や分布,時間,また脂肪組織自体の量と質,を解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,ヒト・ラット心房組織 器官培養を用いた解析として,これまでに確立した,単離した心房組織を器官培養し,外膜側に惹起される炎症と線維化を経時的に観察できるシステムを用いる予定である。脂肪の量と質が変化するかを,マイクロアレイ法,RT-PCR法によるmRNAの発現解析,フローサイトメトリー法による細胞プロファイルの変化,連続切片を用いた組織診断(Masson-Trichrome染色, Perillipin染色,透過電子顕微鏡での観察等),を行い評価・検討する。
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[Journal Article] Detection of fibrotic remodeling of epicardial adipose tissue in patients with atrial fibrillation: Imaging approach based on histological observation2021
Author(s)
Yumi Ishii 1, Ichitaro Abe 1, Shintaro Kira 1, Taisuke Harada 1, Masayuki Takano 1, Takahiro Oniki 1, Hidekazu Kondo 1, Yasushi Teshima 1, Kunio Yufu 1, Takashi Shuto 2, Tomoyuki Wada 2, Mikiko Nakagawa 3, Tatsuo Shimada 4, Yoshiki Asayama 5, Shinji Miyamoto 2, Naohiko Takahashi 1
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Journal Title
Heart Rhythm O2 .
Volume: May 24;2(4)
Pages: 311-323
Peer Reviewed / Open Access
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