2021 Fiscal Year Research-status Report
近位尿細管上皮細胞の代謝リプログラミングを標的とした心腎連関の病態解明
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21K16096
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
白川 公亮 順天堂大学, 大学院医学研究科, 学振特別研究員(PD) (30626388)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オステオポンチン / 腎不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎近位尿細管上皮細胞の代謝リプログラミングによる心腎連関の病態解明を目的とした。 腎近位尿細管上皮細胞はエネルギー需要の高さから酸化的リン酸化によりATPを産生する が、糖尿病腎症や虚血状態では代謝リプログラミングがおきエネルギー代謝が解糖系にシフトする。オステオポンチン遺伝子をコードするSpp1のEGFPノックインレポーターマウスを用いてオステオポンチン産生細胞を同定した。Spp1-EGFPノックインレポーターマウスの片側腎虚血再灌流障害モデルを作成し、腎臓の病理学的評価を実施した。虚血再灌流腎のオステオポンチンの転写活性は、再灌流1日目から遠位尿細管を中心に近位尿細管、集合管などの尿細管で上昇した。3日目以降は遠位尿細管の転写活性は低下し、近位尿細管の転写活性が優位となり、7日目にピークを迎えた。また、虚血再灌流後14日目以降も近位尿細管上皮細胞のオステオポンチン転写活性は上昇し続けていた。以上の結果はオステオポンチンが腎臓の急性炎症だけではなく、慢性炎症を惹起して慢性腎不全への移行を促進している可能性を示唆するものであった。また、解糖系阻害剤である2-デオキシグルコースを全身投与すると腎臓のオステオポンチン転写活性が有意に抑制されたことから、虚血の病態において腎オステオポンチン転写活性に近位尿細管上皮細胞の不適切な代謝リプログラミングが関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響による研究遅延、必要資料の輸入遅延などが影響した。 オステオポンチン遺伝子をコードするSpp1のEGFPノックインレポーターマウスのメーティングがうまくいかず、必要個体を確保できずに研究が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
病的状態における近位尿細管上皮細胞の代謝経路を確認するために、高血糖状態もしくは低酸素下で培養し、OPNの転写活性を誘導したSpp1のEGFP ノックインマウス由来の近位尿細管上皮細胞Primary cultureにおけるエネルギー代謝経路を、フラックスアナライザーを用いて解析する。また、IRI、UUO、STZ誘発糖尿病各モデルマウスに、13 C同位体標識を用いて腎皮質の代謝フラックス解析を実施し、エネルギー代謝の変化を評価する。さらに、エピジェネティックな遺伝子発現制御に関与している可能性のある代謝産物を探索する。各種疾患モデルとコントロールマウスから単離した近位尿細管細胞や尿のメタボローム解析を実施する。病的な状態にある近位尿細管上皮細胞に特異的な代謝産物の候補を同定す病的状態に陥ったオステオポンチン転写活性が上昇した近位尿細管上皮細胞を分離してヒストン修飾解析を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響による研究遅延、必要資料の輸入遅延などが影響した。 オステオポンチン遺伝子をコードするSpp1のEGFPノックインレポーターマウスのメーティングがうまくいかず、必要個体を確保できずに研究が遅延した。
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