2021 Fiscal Year Research-status Report
メカニカルストレス応答性分子を標的とした新規心不全治療への展開
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21K16098
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮内 彩 昭和大学, 医学部, 助教 (20882434)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心筋リモデリング / 心不全 / 心肥大 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋リモデリングは血行力学的負荷に伴い生じる代償的応答であるが、この状態が持続すると心不全に陥る。そのメカニズムとして、サイトカイン受容体、GPCR、およびメカニカルストレス受容体を介した心筋細胞の肥大化や、線維芽細胞によるコラーゲンなど細胞外基質(ECM)の蓄積を伴う間質の線維化が知られているが、詳細は不明な点も多い。本研究で解析を行う Hic-5 は ECM リモデリング制御分子であり、変形性膝関節症発症・進行に関与している。また、線維化制御による肝線維症発症への関与や、がん微小環境を調整することで大腸がん発症にも関与していることから、メカニカルストレスや ECM リモデリングが強く関連する心不全発症への関与が示唆された。そこで本研究では心不全発症における Hic-5 の役割を明らかにするため、心筋リモデリングに着目し、解析を行う。今年度は野生型マウスに浸透圧ポンプを用いたイソプロテレノール持続投与モデル、大動脈縮搾手術(TAC)による2種類の圧負荷誘発心不全モデルマウスを作成し、病態変化に関する基礎データを収集することでHic-5欠損マウスを用いる際の解析条件を設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イソプロテレノールを浸透圧ポンプにて続投与したマウスモデルと、TAC による2種類の圧負荷誘発心不全モデルマウスの作成に成功し、病態変化に関する基礎データを収集できた。また次年度に予定していたマウス心筋細胞および心臓線維芽細胞の単離を既に開始しており、引き続き心筋細胞および心臓線維芽細胞を用いてアンジオテンシンⅡ、メカニカルストレス刺激による心筋リモデリングのメカニズム解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は圧負荷に伴う心不全発症モデルの作成および病態変化に関する基礎データ収集が終了したことから、令和4年度はHic-5欠損マウスにイソプロテレノール持続投与モデル、大動脈縮搾手術(TAC)による2種類の圧負荷誘発心不全モデルマウスを作成し、心不全発症への Hic-5 の関与を検討する。さらにマウスより単離した心筋細胞および心臓線維芽細胞を用いて、神経体液性因子やアンジオテンシンⅡやメカニカルストレスにより生じる心筋細胞の肥大化および間質の線維化に対するHic-5 の影響について検討する。また既にHic-5 との関連が知られる TGF-β シグナリングやインテグリン下流の MAPK についてもHic-5 欠損による影響を解析する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた細胞培養用コーティング剤が海外製で1ヶ月以上の納期の遅れが生じており、年度内に納品が困難なことから、次年度購入に見送ったため。
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