2023 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルストレス応答性分子を標的とした新規心不全治療への展開
Project/Area Number |
21K16098
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮内 彩 昭和大学, 医学部, 助教 (20882434)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心不全 / 心肥大 / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は ECM リモデリング制御分子であり、メカノセンサーとしての機能も知られるHic-5 に着目し、心不全発症における Hic-5 の役割を明らかにすることを目的としている。2023年度は前年度に引き続き、野生型および Hic-5 欠損マウスに対し浸透圧ポンプを用いたイソプロテレノール連続投与を行い、心肥大と心臓線維化に着目した Hic-5 の機能解析を行った。まず野生型マウスではイソプロテレノール連続投与により心臓における Hic-5 のタンパク発現が増加した。次に Hic-5 欠損マウスと野生型マウスを比較したところ、イソプロテレノール連続投与による心重量/体重比の増加が Hic-5 欠損マウスでは抑制された。さらに心エコー解析においても、Hic-5 欠損マウスでは左室拡張末期径の増加が見られず、左室内径短縮率が有意に高値であったことから、心肥大や心機能の低下が抑制されていることが示唆された。また、Hic-5 欠損マウスではイソプロテレノールにより誘導される線維化エリアが減少傾向にあった。さらに心臓における Hic-5 の発現細胞を蛍光免疫染色で観察した結果、心筋細胞には発現が見られず、他の臓器と同様に線維芽細胞において発現が観察されたことから、マウスより心臓線維芽細胞を単離し、Hic-5 の機能について検討を進めた。その結果、線維化促進の中心的役割を担う TGF-β により Hic-5 の発現が誘導されることが明らかになった。Hic-5の心臓線維化における作用機序については現在も検討中であり、野生型および Hic-5 欠損マウス由来心臓線維芽細胞だけでなく、購入したヒト心臓線維芽細胞を用いた検討も行う予定である。
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