2022 Fiscal Year Research-status Report
肺胞マクロファージによる2型肺胞上皮細胞の増殖・分化制御機構の解明
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21K16113
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡辺 知志 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任准教授 (60772960)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺胞マクロファージ / 間質マクロファージ / 肺修復・再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
人口の高齢化に伴い、呼吸器疾患の罹患者数、死亡者数は世界的に急増している。増悪する呼吸器疾患に共通するのは肺傷害と修復機転の破綻であり、新規治療標的を同定するには、肺修復の細胞・分子学的機序の解明がきわめて重要である。肺胞マクロファージは、肺の生体防御や恒常性維持に関わる主要な免疫担当細胞であるが、肺の修復や再生、すなわち2型肺胞上皮細胞の増殖や分化における役割は明らかにされていない。本研究の目的はマクロファージによる2型肺胞上皮細胞の増殖・分化制御機構を明らかにすることである。 マウス肺切除後代償性肺再生モデルでは、肺胞マクロファージ数と間質マクロファージ数の増加を認めた。Lineage-tracing法を用いて単球を標識したところ、肺胞マクロファージは単球の影響を受けなかったのに対し、間質マクロファージは単球の遊走により増加することを示した。また肺胞マクロファージを枯渇させても肺再生に影響しなかったが、間質マクロファージを枯渇させると肺再生は抑制された。興味深いことに間質マクロファージ枯渇は、2型肺胞上皮細胞の増殖・分化に影響せず、血管内皮細胞の増殖を抑制した。以上のことから、間質マクロファージが肺の再生において重要であること、その機序として血管新生が関与することを見出した。本研究課題の成果は、肺再生におけるマクロファージの動態と役割を明確にし、肺修復・再生を促進するメカニズムの解明につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺修復・再生におけるマクロファージの動態と機能を明確にし、間質マクロファージによる血管新生の関与を明らかにすることができた。これまで肺再生における間質マクロファージの役割は検証されておらず、先駆的な研究成果と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
肺再生における間質マクロファージの動態と役割を明らかにすることができたことから、さらにシングルセルレベル、遺伝子レベルでの解析を進める方針である。
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Research Products
(6 results)