2022 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化マウスを用いたCOPDモデルの作成とCOPDの新規治療戦略の確立に向けて
Project/Area Number |
21K16114
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
安井 秀樹 浜松医科大学, 医学部附属病院, 特任講師 (60804937)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | COPD / 肺気腫 / 動脈硬化モデルマウス / 線溶 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)において動脈硬化性疾患は重要な併存症であり、動脈硬化がCOPDの病態に及ぼす詳細なメカニズムの解明及び治療戦略の確立は急務を要するものである。メカニズムの解明のために、今年度は昨年度確立したCOPD動物モデルをもとに研究を進めたが、実験を進めていく中でタバコ煙抽出液(CSE)を用いたCOPDモデルマウスの作成方法の見直しが必要となった。CSEの種類、投与経路、ならびに投与スケジュールを複数の方法で検討した。実験に用いるCSEは、CSE研究で実績のある北海道大学細胞薬理学教室と契約し、提供いただくことでより安定した結果が得られるようになった。また、モデル作成時にCSEの投与回数を当初のモデルより増やすことで、肺組織や肺機能においてより確実なCOPDモデルマウスの作成が可能となった。現在同COPDモデルマウスを用いて、血液中の凝固・線溶因子の測定、肺組織における凝固・線溶因子の発現、大動脈の動脈硬化の程度を評価している。実験の次のステップとして、CRISPR-Cas9によるゲノム編集技術を用いたヒトの脂質異常症の特徴を再現した動脈硬化モデルマウス (LDLr-/-/Apobec1-/-マウス) を共同研究者より提供いただき、本実験で使用できるよう準備を進めているところである。同動脈硬化マウスを用いて、CSEによる肺気腫モデルを作成した際に、野生型マウスと比較し、動脈硬化マウスにおいて肺組織における肺気腫形成が促進されるか、凝固線溶系の発現が亢進するかどうか確認していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COPDモデルマウスの作成方法を見直す必要があり、タバコ煙抽出液(CSE)の種類、投与経路、ならびに投与回数を検討した。その結果、COPDモデル作成方法を含めた実験手技については、ほぼ確立することができた。一方で、動脈硬化モデルマウスでの検討などについては遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型マウスにおいてCOPDモデルが安定して作成することができるようになってきたため、今後は動脈硬化マウスを用いて、肺気腫モデルを作成した際に、野生型マウスと比較し、動脈硬化マウスにおいて肺気腫形成が促進されるか検討していく予定である。動脈硬化マウスを含めた遺伝子改変マウスの安定した供与が研究の推進に重要と考えられ、共同研究者との連携を緊密にしていく必要がある。
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Causes of Carryover |
初年度の持ち越し予算があったため、次年度使用額が生じた。抗体などの研究試薬を翌年度購入する予定である。
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