2021 Fiscal Year Research-status Report
細菌由来アポトーシス促進ペプチドを標的とした特発性肺線維症治療法の開発
Project/Area Number |
21K16116
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
安間 太郎 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80773887)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 特発性肺線維症 / 細菌叢 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性肺線維症(IPF)は慢性進行性に高度の線維化と肺胞構築の改変を呈する致死的な肺疾患である。IPFにおいて、肺上皮細胞のアポトーシスは疾患の進行に重要な役割を果たす。近年、肺内細菌叢とIPFの関連が注目されているが、その詳細な機序は不明である。我々は新規に開発した遺伝子改変肺線維症マウスの肺組織からブドウ球菌属の細菌を単培養し、その培養上清からアポトーシス促進ペプチドを発見し、corisinと命名した。また本ペプチドが肺線維症の急性増悪および線維化に関与することを示した。 本研究は新規に発見した細菌由来アポトーシス促進ペプチドcorisinに対するモノクローナル抗体を作製し、肺線維症マウスモデルにおいて病態抑制効果を検討した。また肺胞上皮細胞株を用いて、corisinがアポトーシスを誘導する機序についても検討を行った。 その結果、肺線維症マウスにおいてモノクローナル抗体でcorisinを阻害することにより、肺の線維化および急性増悪が抑制されることが示された。またcorisinはミトコンドリア障害を介した内因性経路を活性化し肺胞上皮細胞のアポトーシスを誘導することが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
肺特異的TGFβ過剰発現肺線維症マウスにcorisin、LPS、およびブレオマイシンの気道内投与により急性増悪を誘導し、抗corisinモノクローナル抗体の病態抑制効果を検討した。いずれの病態モデルにおいても、抗corisinモノクローナル抗体の投与によりBALF中の炎症性細胞の低下、肺CT所見の改善、線維化の改善および肺胞上皮細胞アポトーシスの低下を認めた。またA549細胞を用いたin vitro実験では、corisinの投与によりミトコンドリア膜障害、活性酸素種の増加、Bcl-2、Bclxlの発現低下、カスパーゼ9の活性化が誘導され、アポトーシスが増加することを示した。 当初2年間で計画していた病態モデルでの検討をすでに完了し、計画以上に研究が進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
モノクローナル抗体によるcorisinの阻害が、肺線維症急性増悪および線維化の病態に対して有効であることを示唆する研究成果が得られた。 corisinが産生されるメカニズムについてさらに研究を進めていく予定である。
|
Research Products
(1 results)
-
[Journal Article] Inhibition of lung microbiota-derived proapoptotic peptides ameliorates acute exacerbation of pulmonary fibrosis.2022
Author(s)
D'Alessandro-Gabazza CN, Yasuma T, Kobayashi T, Toda M, Abdel-Hamid AM, Fujimoto H, Hataji O, Nakahara H, Takeshita A, Nishihama K, Okano T, Saiki H, Okano Y, Tomaru A, Fridman D'Alessandro V, Shiraishi M, Mizoguchi A, Ono R, Ohtsuka J, Fukumura M, Nosaka T, Mi X, Shukla D, Yano Y, Mackie RI, Cann I, Gabazza EC.
-
Journal Title
Nature Communications
Volume: 13(1)
Pages: 1558
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research