2021 Fiscal Year Research-status Report
CD47-SIRPα結合阻害特殊環状ペプチドによる革新的免疫療法の開発
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21K16119
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
羽間 大祐 神戸大学, 医学研究科, 助教 (30894604)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント / CD47 / SIRPα / 特殊環状ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
CD47とSignal regulatory protein α(SIRPα)で形成される細胞間シグナルCD47-SIRPα系は、腫瘍細胞の生体からの排除を抑制する免疫チェックポイントとして機能する。先行研究から、マウスSIRPαに特異的に結合してCD47-SIRPα系を阻害する特殊環状ペプチドを開発した。本ペプチドは、腫瘍特異抗体を介したマクロファージの貪食作用を促進し、腫瘍特異抗体による抗腫瘍効果の増強作用を示した。そこで本研究では、本ペプチドが免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の抗腫瘍効果を増強するのかを評価するとともに、本ペプチドの経静脈投与だけでなく吸入投与でも同様の効果が得られるかを検討する。本ペプチドとICIの併用で優れた治療効果を示すことができれば、今後ヒトSIRPαを標的とした特殊環状ペプチドを開発することにより、安価で副作用の少ない新たなICIが得られる可能性がある。 まず、SIRPαを発現させたHEK293A細胞の培養液中にマウスCD47の細胞外領域のFc融合タンパク質(mCD47-Fc)と本ペプチドを添加した後、HRP標識抗ヒトIgG抗体を加え、発色基質溶液を加えた後、マイクロプレートリーダーで 450 nm の吸光度を測定することで、SIRPα発現HEK細胞へのmCD47-Fcの結合の程度を定量的に評価した。この実験により、本ペプチドは濃度依存的にCD47-SIRPα結合を阻害することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度中に本ペプチドが、抗PD-L1抗体及び抗CTLA-4抗体によるADCP活性を増強するかを検討し、さらに抗PD-L1抗体に関しては、PD-L1陽性細胞であるマウス肺がん由来LL/2細胞に対する、C57BL/6マウスの骨髄由来マクロファージによるADCPを促進するかを評価する予定であったが、条件検討だけで、解析まで進めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、抗CTLA-4抗体においては、マウスの脾細胞から磁気ビーズを用いてCD4陽性T細胞を採取し、TGF-βとIL-2の存在下に培養することで制御性T細胞に分化させ、この制御性T細胞に対するADCPを本ペプチドが促進するかを評価する。具体的には、C57BL/6マウスの脛骨及び腓骨から骨髄細胞を採取し、マクロファージコロニー刺激因子の存在下に培養することでマクロファージに分化させる。このマクロファージと蛍光色素CFSE(Carboxyfluorescein diacetate succinimidyl ester)で標識した標的細胞を、上記ICI及びペプチドの存在/非存在下に4時間共培養し、回収する。回収したマクロファージと標的細胞を染色し、フローサイトメーターで解析する。マクロファージの表面マーカーであるF4/80陽性細胞の中で、CFSE陽性となる細胞の比率を貪食率として算出する。 次に、血行性肺転移モデルを用いた、経静脈投与によるペプチド製剤の腫瘍増殖抑制試験および血行性肺転移モデルを用いた、経気道投与によるペプチド製剤の腫瘍増殖抑制試験を行っていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍での診療状況の変化で実験が一部遅れたため、残高が生じたが、実験協力者を手配できたため、今年度中に計画通りに実験の進行を戻せる見通しである。
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