2022 Fiscal Year Annual Research Report
COVID-19における新規重症化/予後予測マーカーの同定
Project/Area Number |
21K16128
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
高野 智弘 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 研究員 (10885669)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | COVID-19 / MDSC / scRNAseq |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は連携病院に入院した計40名のCOVID-19患者から末梢血単核細胞を採取し、フローサイトメトリーにより免疫細胞の増減を経時的に解析した。免疫抑制能を有する免疫細胞であるMyeloid-derived suppressor cells (MDSC)に着目して解析を行ったところ、MDSCサブセットの一つであるPolymorphonuclear MDSC (PMN-MDSC) の頻度がCOVID-19重症患者において感染後期 (発症後11~30日) に増加することが明らかとなった。またその一方で、重症死亡例においてはPMN-MDSCの頻度に顕著な増加は観察されなかった。このことから、感染後の症状の予後を予測するマーカーとしてPMN-MDSCが有用である可能性が示唆された。 令和4年度はCOVID-19重症例の予後と相関する因子の探索を目的として、重症生存例および重症死亡例の患者由来末梢血単核細胞を用いてSingle cell RNA sequenceを実施した。遺伝子発現プロファイルから末梢血単核細胞は16のクラスターに分けられ、各クラスターにおいて、生存例および死亡例で特徴的に発現する遺伝子群の機能を解析した。その結果、多くのクラスターにおいて、重症死亡例ではII型インターフェロンシグナリングが亢進していることが示唆された。 これらの結果からCOVID-19の重症化に伴い様々な細胞種においてII型インターフェロンシグナリングが亢進しており、PMN-MDSCを介した免疫抑制によりさらなる進行を抑えている可能性が示唆された。一方で、令和4年度は緊急性の高い他の研究プロジェクトの影響から、マウスモデルでの検証にはいたらなかった。本研究で示唆された結果について、引き続きマウスモデル等で検証していくことが必要であると考えられる。
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