2021 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境のTSLPシグナルをターゲットとしたCAR-T療法の肺がんへの応用
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21K16132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渋谷 里紗 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90778408)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺癌 / CAR-T療法 / TSLP |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌組織におけるTSLPの発現の確認:TCGAを用いた解析で、他の癌腫と比較して肺癌ではTSLPの発現が高いことを確認した。 肺癌組織におけるAxlの発現の確認:IHC及びWBを用いて、肺癌検体及びA549細胞におけるAxlの発現を確認した。 TSLP受容体欠損CAR-T細胞の樹立: CARベクターは、抗原認識ドメインであるscFv領域と、co-stimulatory moleculeなどを含むバックボーン領域から構成される。本研究では、CAR-T細胞のターゲットとしてチロシンキナーゼ受容体Axlを選択し、既報にあるAxlをターゲットとするscFvドメインの配列を参考にして、Axl-scFvを含むベクターを作成した。一方、co-stimulatory moleculeとして41BBz, CD28zをそれぞれ含むバックボーンを使用するため、CD19-41BBz CAR, CD19-CD28z CARのベクターを供与いただいた。制限酵素反応を用いて、Axl-scFvとCD19-41BBz CAR, CD19-CD28z CARのバックボーンをそれぞれ結合し、Axl-CARベクターを2種類作成した。これらベクターをJurkat細胞にトランスダクションし、ProteinLを使用したFACS解析で、CARの発現を確認した。また、作成したCAR-Jurkat細胞でTSLPRの発現があることを確認した。 肺癌オルガノイドモデルの作成:肺癌細胞の二次元培養でCAR-T細胞におけるTSLPの機能を調べることを優先したため、オルガノイドモデルの作成には着手していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CAR-T療法において、TSLPシグナルに着目することの妥当性をデータベースの解析から確認できた。自施設の肺癌組織検体を使用したIHCでもTSLPの発現を評価するために、実験の条件検討を行っている。また、CARのターゲットとしてAxlをターゲットとすることに問題がないことも確認できた。 以上を踏まえて、実際にAxl-CARのベクター作成、及び、作成したベクターからAxl-CAR-Jurkat細胞を作成することに成功し、さらにTSLPRの発現も確認した。 オルガノイドモデルの作成は開始していないが、肺癌の二次元培養でもCAR-TにおけるTSLPシグナルの役割については評価できるため、概ね順調に経過していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
作成したAxl-CAR-Jurkat細胞と肺癌培養細胞を、TSLPの有無で共培養し、Axl-CAR-Jurkat細胞の活性化状態や殺細胞能を比較する。 TSLPシグナルががCAR-T細胞の機能に与える影響を検討し、結果に応じてCAR-Jurkat細胞においてTSLPRのノックダウンもしくは強制発現を行う。作成したTSLPRノックダウンCAR-Jurkat細胞もしくはTSLPR強制発現CAR-Jurkat細胞と、肺癌培養細胞を共培養し、殺細胞能が強化されたことを確認する。 ヒトの末梢血からTSLPRノックダウンCAR-T細胞もしくはTSLPR強制発現CAR-T細胞を作成し、肺癌細胞との共培養を行って殺細胞能を評価する。
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Causes of Carryover |
消耗品に使用した額が予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。翌年度の消耗品の購入に充てるものとする。
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