2023 Fiscal Year Research-status Report
NAD代謝による組織因子制御と慢性腎臓病血栓症の予防法開発
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21K16156
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大江 佑治 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (00791980)
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Project Period (FY) |
2022-12-19 – 2026-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 心血管イベント / 組織因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease, CKD)で,インドキシル硫酸をはじめとした尿毒素が凝固組織因子を活性化し,血栓症リスクを悪化させる機序が明らかにされたが,その予防法の開発が遅れている.我々は血液凝固が血栓症リスクだけではなく,プロテアーゼ活性化受容体を介して腎障害も悪化させることを明らかにしてきた.ATPエネルギー産生の補酵素であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)と抗老化因子Sirtuinは様々な生命現象を制御し,CKDの進行や合併症を抑制することが報告されている.本研究は,NAD-Sirtuin経路の活性化がCKD血栓症予防に有効か明らかにする. CKDモデル動物の解析から上記の仮説を検証する.アデニン腎不全マウスはアデニン腎毒性により重度の腎不全,尿毒症を発症し,血中組織因子や傷害臓器へのフィブリン沈着が上昇するため,CKDにおける凝固異常の評価に適したモデルマウスである.NAD前駆体によるSalvage経路を介したNAD+の補充がアデニン腎不全モデルの凝固活性を抑制するか明らかにする.研究初年度はアデニン腎不全マウスを作成し,NAD前駆体であるnicotinamideを投与して,腎臓や血液などのサンプルを回収した.BUNなどの腎機能マーカーや炎症メディエーターの発現が改善しており,組織因子やSirtuinなどの血液凝固,老化関連マーカーの発現・活性を評価している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外留学から帰国し年度途中から研究を再開したため,研究環境の整備に時間を要した.腎不全マウスを作成してサンプルを採取できたが,一部の解析を次年度に行う.
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Strategy for Future Research Activity |
腎不全モデルに対するnicotinamideの抗血栓効果を検証するため,凝固因子やSirtuinの発現を定量する.血中Dダイマーや臓器へのフィブリン沈着を評価する.RNA-seq解析を行い,血栓症マーカーと関連する遺伝子探索やパスウェイ解析を行う.
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Causes of Carryover |
海外留学から帰国し年度途中で研究を再開したため,一部の解析を次年度に行うこととした.実験動物や試薬の購入に充てる予定である.
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