2021 Fiscal Year Research-status Report
Unraveling the cooperative action of p53 and autophagy against kidney aging
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21K16163
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 毅士 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20756994)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | kidney aging / autophagy / cellular senescence / 3次リンパ組織 / DNA damage / cGAS-STING |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化に伴い透析患者は増加し、今後さらなる高齢社会を迎える我が国においてその対策が急務である。高齢者は腎障害に罹患しやすく回復しにくいが、その回復力低下の機序は不明である。がん抑制遺伝子p53は、細胞ストレスに応じて細胞周期停止・アポトーシス・細胞老化など多彩な細胞応答を起こすが、腎老化におけるp53の病態生理学的役割は検討されていない。一方、オートファジーはリソソームにおける細胞質成分分解の総称であり、われわれは腎疾患におけるオートファジーの役割を研究してきた。本研究では「p53とオートファジーは、DNA損傷とSASPを抑制することにより、協調的に腎臓の老化を遅らせる」という仮説をたて、p53-オートファジーの相互作用、p53の生理的意義と抗老化作用、DNA損傷におけるオートファジーの選択的基質を解明し、さらに解明した病態をヒト高齢者腎で検証することを計画した。 ①遺伝子改変マウスを用いたp53 /オートファジーの相互作用の検討、②近位尿細管特異的p53/Atg5ダブルノックアウトマウスの解析によるp53の役割解明、③加齢に伴うDNA損傷に対抗するオートファジーの選択的基質の探索・検討、④高齢ヒト腎検体を用いた検証の課題に対して、これまでの実績として ①2年齢の近位尿細管特異的p53欠損マウスは腎組織学的な異常は認めなかった一方で、DNA修復異常による損傷DNAの増加とともにオートファジー活性の亢進を認めた。②2年齢の近位尿細管特異的p53・Atg5欠損マウスでは尿細管細胞老化の進行、SASP因子の亢進、炎症細胞の著明な集簇を認めた。③培養尿細管細胞を用いた検討により、細胞老化やp53欠損により生じた細胞質への損傷DNA蓄積をオートファジーが処理することによりSASP因子を抑制していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に計画した①~④の課題のうち、マウスと培養細胞において①~③の課題を概ね解決し、国内外における学術集会で成果を発表(予定を含む)している。
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Strategy for Future Research Activity |
「④高齢ヒト腎検体を用いた、「DNA損傷/SASP-オートファジー不全-3次リンパ組織」の検証」に着手している。今後、引き続き「DNA損傷/SASP-オートファジー不全-3次リンパ組織」の関連がヒト高齢者の腎臓に共通する病態生理であることを免疫染色によって確かめる。
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