2022 Fiscal Year Research-status Report
糸球体上皮細胞におけるRho-GTPase制御機構を解明する
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21K16164
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 潤 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (10778260)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糸球体上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Rho GTPaseは細胞内アクチン線維の分解・再構築を制御し、細胞形態に重要な役割を果たしている。Rho GTPaseはGuanine nucleotide Exchange Factors (GEF)によって活性化され、GTPase-Activating Proteins (GAP)によって不活化される。これまでの研究から、糸球体上皮細胞(ポドサイト)の代表的なRho GTPaseの1つであるRac1の活性異常が尿蛋白や糸球体硬化に関わることが示されているが、その制御機構は明らかでない。 そこで本研究では近位依存性ビオチン標識法により、ポドサイトにおけるRac1のGEF、GAPおよびその他関連因子の同定を試みた。その結果、GEFではARHGEF7やFGD6が、GAPではARHGAP31やARHGAP10などが検出され、ポドサイトのRac1活性は主にこれらのGEFとGAPによって制御されていることが示唆された。 また、GEF・GAP以外にGIT2がRac1関連因子として同定された。培養ポドサイトを用いた免疫染色によりGIT2の細胞内局在を評価したところ、GIT2は接着斑構成蛋白の1つであるパキシリンと共局在していた。樹立したGIT2欠損ポドサイトでは対照細胞と比較してRac1活性の上昇を認めた。GIT2欠損細胞の面積は対照細胞と比較して有意に増加し、Rac1阻害剤を投与することにより有意に減少した。以上より、ポドサイトのGIT2は接着斑に局在し、Rac1活性を制御することで細胞形態の維持に関わると考えられた。 CRISPR/Cas9によりGIT2欠損マウスを樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおりに研究を実施し、都度適切なトラブルシューティングを実行できたためと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立した動物モデルを用いて生体におけるGIT2の機能解析を行う。また、GIT2欠損細胞を用いて、GIT2がRac1活性を亢進する分子メカニズムを解明する。
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Research Products
(1 results)