2021 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of novel BMP antagonist as causal factor of kidney disease progression in diabetes
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21K16173
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 洋輝 日本大学, 医学部, 専修医 (70802156)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NBL1 / BMP-7 / EMT / 糖尿病性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はBone Morphogenetic Protein(BMP)- 7のantagonistであるNeuroblastoma suppressor of tumorigenicity 1(NBL1)が将来の末期腎不全(ESRD)を強力に予測するバイオマーカーであることを明らかにした。またNBL1KOマウスが、UUOにより誘導した腎線維化に対して抵抗性があることがわかったが、腎線維化に関与する分子機序や、糖尿病性腎症でのNBL1の役割は未知であるため、これらを明らかとすることを目的とした。 ①ヒト近位尿細管細胞であるHK-2細胞を、70%コンフルエントまで培養し、DMEM無血清培地(コントロール : 低グルコース5.6mM)でserum starvaitonを24時間行った後、高グルコース(33mM )で24時間刺激したところ、コントロールに比べて高グルコース刺激の細胞では、NBL1のmRNAは有意に上昇した。また同様に、HK-2細胞をrecombinant human TGFβ1 (5ng/ml)で24時間刺激したところ、コントロールに比べてNBL1 mRNAの発現が上昇した。これらの結果を元に、HK-2細胞をrecombinant NBL1(125ng/ml)あるいはTGFβ1(5ng/ml)で72時間培養した。刺激後48時間から72時間までに、共にαSMA、fibronectin、vimentin等EMTマーカーのmRNAの発現が上昇した。 ②NBL1 KOマウス(ホモタイプ、ワイルドタイプ)を麻酔下で右腎摘出を行った後に高脂肪餌を与え、ストレプトゾトシンを投与して糖尿病マウスを作成した。糖尿病発症確認後24週まで4週間毎に体重、血糖値の測定、採尿を現在行っている。 飼育後は、麻酔下で安楽死させ血清、臓器を採取し、NBL1の発現等解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト尿細管細胞であるHK-2細胞を用いた培養実験では、高血糖やTGFβ1による細胞への刺激がNBL1の発現に上昇させることがわかった。このHK-2細胞をrecombinant NBL1で刺激すると、TGFβ1、αSMA、vimentin、fibronectinの発現が上昇し、一般的にEMTを誘導すると知られているTGFβ1で細胞を刺激した際の変化に近いことがわかった。また動物実験は、 KOマウスの繁殖も順調に進んでおり、現在、片腎摘後に高脂肪餌を負荷し、STZを投与して実験を行っているところであり、本研究課題の進捗状況は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、培養実験においては、HK-2細胞に対して、NBL1のsiRNAを導入し、mRNAの発現抑制下において、刺激因子である高血糖、およびTGFβ1での培養を行い、刺激因子に対するEMTマーカー(αSMA、Eーcadherin、vimentin)やCOL4A、SMAD1/5、SMAD2/3のリン酸化への影響を検討する。NBL1 KOマウス(ホモタイプ、ワイルドタイプ)の糖尿病モデルマウスを使用した動物実験においては、飼育終了後に得られた血液および腎臓について、NBL1の発現をELISA等で検討する。また組織は、HE染色やMasson染色等を行う。さらにNBL1KOマウスのホモタイプとワイルドタイプにおいて、EMT、ポドサイト障害の評価を免疫組織学的に行う予定である。
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