2023 Fiscal Year Research-status Report
尿素トランスポーターを標的とした尿素依存性浸透圧利尿薬の新機序解明
Project/Area Number |
21K16177
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
久間 昭寛 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30893284)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 体液貯留 / 慢性腎不全 / 尿毒症性心筋症 / トランスポーター / 水 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿素トランスポーターは尿中尿素を再吸収することで、尿浸透圧を調整して尿量を変化させる。本研究では、尿素トランスポーター(UT; urea transporter)を阻害することで得られる浸透圧利尿効果が、慢性腎臓病においても認められるかを検証することが目的である。 昨年度までの研究で、Dimethylthiourea (DMTU)はUTを選択的に阻害し、特に高タンパク食を食餌させたマウスで尿量が増加することが確認されている。慢性腎臓病モデル(5/6腎臓摘出モデル; 5/6Nx)マウスを作製し、DMTUを用いて8週間観察した。コントロール群と比べて、DMTU群では24時間尿量が1.5倍に増加したことから、腎機能が低下していてもDMTUによる利尿効果を認めた。また、体液貯留による心機能への影響を評価した。心臓超音波検査で、心筋重量係数(mg/g)はコントロール群 4.18±0.27、DMTU群 3.44±0.13であり、DMTU群は有意に心肥大が抑制されていた。DMTUによって、体液貯留が低減されたことによる影響と考えられる。 2023年度の研究では、心肥大に伴う心筋組織の評価を行った。DMTU群はα-SMA、collagen1、vimentinの発現がコントロール群より少ないことをウェスタンブロット法やリアルタイムPCR法で確認された。また、心筋組織でのRenin、Angiotensinogenの発現がDMTU群で低いことが示されたが、ミネラルコルチコイド受容体の発現は2群間で差は認めなかった。 以上より、DMTUは腎機能が低下していても浸透圧利尿効果を有して体液貯留を抑制することが示された。さらに、心肥大や心筋線維化を低減することが分かり、RAS系活性化が抑えられていることが寄与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度から所属施設を異動し、その間の実験が中断されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、従来より頻用されている利尿薬のフロセミドとDMTUとの利尿効果を比較して検討する。また、アルドステロンとNaClを投与した際のDMTUによる利尿効果と心機能への影響についても評価する予定である。
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Causes of Carryover |
実験進捗が研究計画からやや遅れており、それに合わせて実験物品購入や測定費用が全て終了していないため。
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