2021 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性腎臓病における腸腎連関の解明と新規DKDバイオマーカーの確立
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21K16178
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊地 晃一 東北大学, 大学病院, 助教 (10845259)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 尿毒素 / 糖尿病性腎臓病 / フェニル硫酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎臓病(Diabetic Kidney Disease: DKD)は種々の腎臓病の中で末期腎不全に至る最多の原疾患であり、その早期発見や予防は喫緊の課題である。近年、腎臓病の病態と腸内環境が互いに密接な関連を持つという腸腎連関が知られている。申請者は先行研究でDKDの原因物質かつ予後予測マーカーとして腸内細菌由来のフェニル硫酸(PS)を同定し、DKDにおいても腸内環境が病態に影響することを明らかにしてきた。 本研究では1)長期予後解析や尿検体、新たな大規模コホートを用いた解析によるPSの新規DKDバイオマーカーとしての有用性の確立、2)糖尿病下での腸内細菌叢変化および血中PS濃度の上昇メカニズムの解明、3)腸内環境への介入による新たなDKD治療法の探索を目的とした。 当該年度は主に1)に関する研究を行った。申請者が先行研究で血中PS濃度と2年後の尿中アルブミン増悪が有意に相関することを示した岡山大学の糖尿病コホート(UCARE study n=362)の尿検体中のPS濃度を測定し、解析を行った。クレアチニン補正尿中PS値(PS urine/Cr)と血中PS濃度は有意に相関した(p<2.2e-16)。PS urine/Crはベースラインの臨床項目とのスピアマンの単相関解析および、PS urine/Crを目的変数とした重回帰分析のいずれでも尿中アルブミンと有意な相関を示した。さらに微量アルブミン尿期の患者群ではPS urine/Crは尿酸値とともに2年後の尿中アルブミンの増悪と有意に相関することを示した。以上の成果は血液サンプルに比べてより非侵襲的に採取可能な尿検体でもPSがDKDの予後予測マーカーとして機能する可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
区分で選んだ通り、おおむね研究計画書で予定した通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は1)長期予後解析や尿検体、新たな大規模コホートを用いた解析によるPSの新規DKDバイオマーカーとしての有用性の確立、2)糖尿病下での腸内細菌叢変化および血中PS濃度の上昇メカニズムの解明、3)腸内環境への介入による新たなDKD治療法の探索である。 1)の臨床コホートを用いた研究についてはPSをはじめとする解析に必要なデータの収集は完了し、解析作業とまとめの段階に入っており引き続き研究を遂行していく。 2)、3)については糖尿病モデルマウスやHUPECs(ヒトポドサイト様細胞)やインスリン分泌細胞(Ins1e、MIN6)等を用いて基礎データやサンプル収集を行っており、次年度ではこれらのデータを元に腸内細菌のメタゲノム解析を含め、解析とまとめを遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究計画ではLCMS/MSを用いたヒトコホート症例約650症例の尿サンプル中尿毒素の測定と解析、そして実験動物の糞便サンプルを用いた16Sメタゲノムシークエンスや血液尿サンプルのメタボローム解析等に大きな支出を見込み予算を計上している。 ヒトコホートサンプルの測定は概ね計画通りに進んでいるが、動物実験については解析するにたる基礎データを収集している段階で、当該年度中にメタゲノム解析等の施行まで至らなかったため、次年度使用額が生じた。次年度はこれらの繰越も含めて当初の研究計画書に基づき研究を進め、かつ目的達成を目指す所存である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] SGLT‐1‐specific inhibition ameliorates renal failure and alters the gut microbial community in mice with adenine‐induced renal failure2021
Author(s)
Ho HJ, Kikuchi K, Oikawa D, Watanabe S, Kanemitsu Y, Saigusa D, Kujirai R, Ikeda-Ohtsubo W, Ichijo M, Akiyama Y, Aoki Y, Mishima E, Ogata Y, Oikawa Y, Matsuhashi T, Toyohara T, Suzuki C, Suzuki T, Mano N, Kagawa Y, Owada Y, Katayama T, Nakayama T, Tomioka Y, Abe T.
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Journal Title
Physiological Reports
Volume: 9
Pages: e15902
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Fibromuscular dysplasia with recurrence after "long-term" following percutaneous transcatheter renal angioplasty: two case reports with a review of 26 patients.2021
Author(s)
9.Oribe S, Toyohara T, Mishima E, Suzuki T, Kikuchi K, Watanabe S, Morita Y, Ota H, Seiji K, Miyazaki M, Takase K, Abe T.
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Journal Title
BMC Nephrology
Volume: 22
Pages: 187
DOI
Peer Reviewed
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