2021 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性多発血管炎性肉芽腫の腎障害メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K16179
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
齋藤 雅也 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (00831215)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 / 好酸球性炎症 / 細胞外トラップ / 腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の腎合併症における、好酸球性炎症の寄与について検討し、治療標的となり得るかを探る。EGPAでは、様々な臓器における好酸球の非アポトーシス細胞死(ETosis)による臓器障害性が明らかとなっている。また、最近ではEGPAの易血栓形成性に好酸球ETosisが関与していることも報告された。一方で、EGPAの腎合併症については未だ好酸球ETosisの関与は明らかになっていない。 今年度は、好酸球非アポトーシス細胞死(ETosis)のin vitro条件下での腎組織傷害作用を検討するため、既報に則り活性化した好酸球とHuman kidney-2(HK-2)細胞のインキュベーションによる実験を行っている。傷害されたHK-2細胞から放出されたLDHの測定を行い、現在データを解析中である。今後は、ヨウ化プロピジウム染色による死細胞の可視化とその解析を行う予定であり、データ解析後の論文化を検討している。 さらに、腎での好酸球ETosisの局在確認のため、EGPA患者腎組織の電子顕微鏡検査を進めている。まだ数例での検討しかできておらず、今後症例を追加する予定である。好酸球崩壊像を正確に観察できる評価法である電子顕微鏡検査を進めながら、今後はより広範に好酸球ETosisの局在を評価するため、免疫化学染色による検討を行う予定としている。 また、2021年度にEGPAにおける好酸球性炎症についての総論を共著し専門誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の研究計画では、好酸球ETosisの腎傷害作用をin vitro条件下で検討することとしていた。具体的方法として、傷害された細胞から放出されるLDHを測定すること、死細胞を可視化する、2つの方法での検討を予定していたが、まだ後者の実験には至っておらず遅れが生じている。一方で、腎組織での好酸球ETosis局在を検討するための病理学的評価は、電子顕微鏡検査など順調に進めることができている。 研究計画に遅れが生じた理由として、新型コロナウイルス感染症による予期しない業務の大幅な増加が挙げられる。次年度においても、新型コロナウイルス感染症に係る業務は増加することが予想されるが、研究が進められるよう都度業務調整を行い研究を遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究計画として、好酸球ETosisの活性化に対するインテグリン抗体などの効果を検討する予定となっている。まずは昨年度の研究計画予定で遅れの生じている、好酸球ETosisの腎組織傷害性についての検討を確実に遂行したい。また、腎組織での好酸球ETosisの評価については、電子顕微鏡検査のみでなく、より広範に評価が可能となる免疫染色での評価も必要であるため、免疫染色評価についても開始する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度の予定していたプロピジウム蛍光染色試薬についての購入や、コロナウイルス感染症に伴い学会など県外移動が制限されたため、次年度使用額が生じている。今年度は腎病理学的検討のための免疫染色試薬なども購入予定である。
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Research Products
(1 results)