2021 Fiscal Year Research-status Report
Role of renal LPL metabolism in chronic kidney disease
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21K16187
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
佐々木 裕紀 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (10897466)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脂肪毒性 / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
リポ蛋白リパーゼ(LPL)は、血液中を流れる中性脂肪から細胞内へ脂肪酸を輸送する酵素で、インスリン作用により正に制御されている。したがって、LPL活性の低下は、インスリン抵抗性による高中性脂肪血症の原因の一つとなる。慢性腎臓病および動脈硬化症における高中性脂肪血症の関与は、未だ一定の見解が得られていないのが現状である。そこで、本研究では、全身および腎臓のLPL欠損マウスを用いて、慢性腎臓病および動脈硬化症における高中性脂肪血症の役割を検討することを目的とした。 全身型LPL欠損マウスは乳び、血清高トリグリセリド血症を示したが、インスリン抵抗性や対糖能の悪化、膵炎の発症はなく、腎障害や脂肪肝などの脂質異常症関連疾患も発症しなかった。さらに、LPL欠損マウスで5/6腎摘出により慢性腎臓病を誘発して際、野生型マウスと同程度の腎障害を呈し、LPL欠損による高トリグリセリド血症は慢性腎臓病の表現型や動脈硬化を悪化させることはなかった。 次に、LPLを介した脂肪酸の取り込みは近位尿細管上皮細胞のエネルギー代謝に重要であると考えられることから、近位尿細管上皮細胞特異的にLPLを欠損させたマウスを作成し、腎臓LPLの腎臓生理における役割を検討した。その結果、このマウスの組織学的特徴や腎臓でのナトリウム、グルコース、リン、尿酸、尿素窒素などの再吸収には異常が見られなかった。 これらの知見は、、腎障害や動脈硬化の発症に対する、LPL欠損による全身および腎臓の脂質代謝異常は限定的であることを示唆し、肥満による腎障害の病態における脂質毒性説の新たな知見を提供するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全身並びに近位尿細管細胞特異的LPL欠損マウスの表現計解析は予定通り終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
LPL-floxマウスとタモキシフェン誘導性近位尿細管Cre(Neph2-CreERT2)マウスとの交配を行い、タモキシフェン投与を行い、ポドサイト 特異的LPL欠損マウスを作製する。以下の条件での、野生型とポドサイト特異的LPL欠損マウスの腎表現系を検証する。1)加齢に伴う腎障害へのポドサイト特異的LPL欠損の影響を経時的に検証する。2)5/6腎臓摘出モデルにおける腎障害へのポドサイト特異的LPL欠損の影響を検証する。3)新規腎硬化症モデルに対するポドサイト特異的LPL欠損の影響を検証する。
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