2021 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性腎臓病における糸球体内皮Glycocalyxの恒常性破綻の分子機序の解明
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21K16199
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
角谷 裕之 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70509265)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | glycocalyx / 内皮機能障害 / CD44 / ヒアルロン酸 / 糖尿病性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルブミン尿が糖尿病性腎臓病(DKD)の早期病態であり、糸球体内皮Glycocalyxの恒常性の破綻がアルブミン尿出現に関与している。「糖尿病性腎臓病では、糸球体内皮Glycocalyxの恒常性の破綻 (質的・量的異常) により、ヒアルロン酸(HA)が過剰に蓄積した結果、CD44陽性白血球の糸球体内皮へのホーミングが増加し局所に炎症を惹起し腎症が進展する」との仮説証明を通してDKD治療戦略立案に資することが本研究の目的である。DKDにおける糸球体内皮HA-CD44陽性白血球の相互作用を検討する。 まずはじめに、循環血中のCD44陽性Leukocyte数が糖尿病進展に伴い増加しているのかどうかを検討した。WTマウス、db/dbマウス、eNOSKO-db/dbマウスの5週齢、10週齢、15週齢における血清を採取してフローサイトメトリーで評価した。結果、WTマウスと比較してeNOSKO-db/dbマウスで循環血中のCD44陽性Leukocyteは顕著に増加していた。次に腎糸球体におけるCD44陽性Leukocyteのホーミングについて評価した。生体マウスの腎糸球体を可視化後、抗CD44抗体を経動脈投与した。結果、糸球体への同Leukocyteのホーミング数は、WTマウスと比較してeNOS-/-STZおよびeNOS-/-db/dbマウスで増加していた。CD44陽性Leukocyteの一部は、内皮細胞上をローリングしていた。 現在、in vivo実験で糸球体内皮細胞表層のヒアルロン酸の評価を行っている。また、in vitro実験でヒト糸球体内皮細胞(human glomerular endothelial cell; hGEC)を使用して高糖濃度条件下におけるヒアルロン酸の合成酵素、分解酵素の発現量の変化について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病性腎臓病の病態進展においてCD44陽性Leukocyteの腎糸球体へのホーミングを実際に可視化することに成功した。また、進行性糖尿病性腎症モデル(eNOSKO-db/dbマウス)において循環血中のCD44陽性Leukocyte数が増加していることを確認することができた。おおむね順調に経過していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、CD44陽性Leukocyteと糸球体内皮glycocalyxとの相互作用について検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究に使用する予定の試薬(in vivo imaging用)、ELISAキット等を追加発注しているが、納期が遅れたため。研究自体には遅れを生じていない。
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Research Products
(1 results)