2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K16201
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 真也 北海道大学, 大学病院, 助教 (70875161)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | FAM83H / 有棘細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚有棘細胞癌(squamous cell carcinoma, 以下SCCと略す)は、世界で2番目に多い皮膚悪性腫瘍であり、主に慢性的に日光にさらされる高齢者の皮膚に好発する。その有病率は、急速な人口動態の高齢化に伴い、年々増加している。本研究では皮膚SCCにおけるFAM83H分子の機能を解析した。結果として、1)皮膚SCCにおけるFAM83Hの発現レベルは、正常皮膚に比べて低下する。2)FAM83Hをノックダウンすると皮膚SCC細胞の遊走能および浸潤能が亢進する。3)In vivoにおいてFAM83Hをノックダウンすると転移能が亢進する。4)FAM83Hのノックダウンにより、ケラチン束の太さと数が減少する。5)FAM83Hをノックダウンするとケラチンの可溶分画が減少するが、不可溶分画には影響を与えない。6)FAM83Hの発現が低下すると、正常では細胞質にびまん性に分布しているケラチン線維が、核周囲に凝集する。以上が解明された。FAM83Hは、ケラチンの分布や構造を変化させることで、皮膚SCC細胞の遊走/浸潤/転移に関与していると考えられる。皮膚SCCではFAM83Hの発現低下が、腫瘍の進行に寄与すると考えられた。臨床的な応用を考えた場合には、腫瘍局所的にFAM83Hの発現を亢進させるような工夫が必要である。また、FAM83Hのノックダウンによりケラチン束の太さ・数やケラチンの可溶性が変化するメカニズムについては、本研究では解明できておらず、今後の課題として残っている。また、頭頸部有棘細胞癌におけるFAM83Hの発現様式は皮膚SCCとは大きく異なっており、上皮組織におけるFAM83Hの発現や癌化との関連についても解明していきたい。
|