2021 Fiscal Year Research-status Report
Molecular genetic study of melanoma "like" cells and identification of novel cancer-related genes
| Project/Area Number |
21K16202
|
|---|
| Research Institution | Akita University |
|---|
Principal Investigator |
能登 舞 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (10738462)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | 悪性黒色腫 / メラノーマ / メラノサイト / メラノーマ「様」細胞 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
メラノーマ（悪性黒色腫）は、その悪性度の高さや、外科的侵襲による腫瘍の深部への押し込みや、再発・転移のリスク上昇の可能性などから、腫瘍に切り込んでの部分生検を回避すべきとされており、病理組織診断確定のために、全摘生検を行うことが多い。R3年度は、H31年1月～R3年7月までに、自施設で外科的治療を行ったメラノーマ症例の病理組織学的所見を全例再検討した。H31年～R1年18例、R2年16例、R3年13例の計47例のうち、全摘生検で腫瘍の残存がないことが確認されているにも関わらず、その後速やかに行った追加切除標本内に、メラノーマに非常に類似し、メラノーマの表皮内病変と診断し得た病変が確認された症例が7症例あった。このうち、自施設で全摘生検と追加切除の両方を行い、それぞれのパラフィンブロックを入手できた3症例について検討を行った。全摘生検時の診断は、2症例が表皮内病変（in situ）であり、残りの1症例が浸潤病変（pT1a）であったが、いずれも全摘生検標本HE染色において、側方断端、深部断端に異型メラノサイトは存在せず、切除断端は陰性と判断した。しかしこの3症例いずれも、1～2カ月後に施行した追加切除標本の表皮内に異型メラノサイトの増生が確認された。Melan A、HMB-45、S100、Ki-67などによる免疫組織化学染色を追加で施行したころ、全例で追加切除標本の表皮内にMelan Aで陽性を示す細胞が観察された。この追加標本内に観察されるメラノーマ「様」細胞は、少なくともメラノサイトであること、全摘生検では取り残しがなかったことが確認できたが、①メラノーマのごく早期再発病変であるのか、もしくは、②反応性などによる正常なメラノサイトの増生なのかについて、次世代シークエンスによる全ゲノム解析を行い、さらなる検討を進める必要がある。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
R3年度は、H31年1月～R3年7月までに、自施設で外科的治療を行ったメラノーマ全47症例の病理組織学的所見の再検討、必要症例の免疫組織化学的検討を行った。以前より疑問に感じていた、全摘生検後の追加切除標本内にみられるメラノーマ「様」細胞が、発生部位、深達度の違う複数の症例でみることができた。全ゲノム解析により、初回切除時のメラノーマ細胞と、このメラノーマ「様」細胞の遺伝子変異を比較し、これらが同じメラノーマ由来であるのかを、遺伝子プロファイリングによって明らかにする段階である。
|
| Strategy for Future Research Activity |
追加切除標本において、メラノーマ「様」細胞が確認できた3症例に関して、①全摘生検時の標本と②追加切除時の標本のパラフィンブロックから遺伝子を抽出し、全ゲノム解析を行い、それぞれの遺伝子変異を確認する。メラノーマ「様」細胞遺伝子内に、全摘生検標本内には見られなかった特異的かつ病的な変異が見つかった場合、継代可能なヒトもしくはマウスメラノサイトにその変異をノックインしたノックイン・メラノサイトを作成し、その遺伝子の機能を解析するととともに、メラノーマ「様」細胞が出現するメカニズムを明らかにする。
|
| Causes of Carryover |
当院で治療を行った悪性黒色腫全症例の病理組織解析に時間を要したため、R3年度はメラノーマ「様」細胞の遺伝子解析まで行うことができなかった。R4年度は、R3年度未使用額とR4年度請求分を合わせて使用する予定である。R3年度に行う予定であった遺伝子解析から、R4年度に行う予定のノックイン・メラノサイトの作成へと研究を進めていく予定である。
|
Research Products
(20 results)
