2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of pathophysiology and biomaker search by gene expression profiling of extramammary Paget disease
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21K16208
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横田 憲二 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (20456651)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳房外Paget病 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳房外ページェット病は、本邦の皮膚悪性腫瘍の10%前後を占める重要な疾患であり、主に高齢者の外陰部、肛門周囲に発生する。病理組織学的には表皮内に淡明な細胞質を持つページェット細胞の増殖を特徴とする。広義の乳房外ページェット病には、全体の大半を占める皮膚原発の狭義の乳房外ページェット病と、直腸癌や肛門癌等の表皮内進展である、ページェット現象が含まれる(以下、本申請書では「乳房外ページェット病」を前者の狭義の疾患として記載し、後者を「ページェット現象」と記載して区別する)。乳房外ページェット病は、その病態に付いて未だ未解明な点も多く、腫瘍細胞がどの組織由来かという基本的な概念に付いても諸説あり、決着がついていない。また、普遍的に陽性となるマーカー分子も同定されていないため、乳房外ページェット病が単一疾患であるのか、複数の腫瘍の共通の表現型を見ているのかについても、結論は出ていない。一方、臨床的にも、肛門や尿道口に病変が進展した症例では、他の腫瘍によるページェット現象との鑑別診断や治療方針の決定が困難な事がしばしばあり、進行癌においては有効な集学的治療法が未だ整備されていない等、課題が多く残されている。名古屋大学医学部附属病院は、東海地方における皮膚悪性腫瘍治療の基幹的施設の一つであり、毎年コンスタントに多数の乳房外ページェット病の新規患者を診療している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未だ病態が良く把握されていない、乳房外ページェット病について、詳細な遺伝子発現プロファイルの解明は、本腫瘍についての分子生物学的、細胞生物学的な理解のブレークスルーをもたらす。これら成果は新規診断マーカー、有用な治療戦略の開発において必須の基盤的知見となりうる。さらに、本腫瘍の発癌に関するシグナル経路、代謝経路が解明される可能性があり、乳房外ページェット病の予防法の提案へとつながることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
乳房外ページェット病は皮膚悪性腫瘍の10%前後を占める重要な疾患である。しかしながら、これまで体系的な研究があまり行われていないこともあり、その起源が未だ確定していない等、未だ不明な事が多い。また、転移した際に有用な治療法も確立されていない。 起源を解明することにより、疾患の予防や治療法の開発へと結びつくと考え、本研究の着想に至った。 準備状況においては本研究に必要な新鮮な検体を、継続的に入手可能であり、解析に必要な機器も既に整備され、稼働している状況である。
今年度までの結果をまとめて、今後論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
名古屋大学医学部附属病院は、東海地方における皮膚悪性腫瘍治療の基幹的施設の一つであり、毎年コンスタントに多数の乳房外ページェット病の新規患者を診療しているが、 研究計画に遅れが生じているため、新規の症例をいれ、遺伝子検索を次年度使用額を 適切に使用する。
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