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2021 Fiscal Year Research-status Report

皮膚の時空間的再構築の理解

Research Project

Project/Area Number 21K16210
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

石田 雄大  京都大学, 医学研究科, 助教 (70890622)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2023-03-31
Keywordsがん / クローン進化 / 皮膚
Outline of Annual Research Achievements

健常者、尋常性乾癬患者、アトピー性皮膚炎患者における表皮ケラチノサイトのクローン拡大のあり方を解明するため、2つの実験手法を用いた。
まず、健常者、尋常性乾癬患者、アトピー性皮膚炎患者の皮膚から表皮を分離し、0.5mmの円柱形に複数サンプリングを行なった。抽出したDNAをエクソームシークエンスした。健常高齢者の露光部皮膚ではドライバー変異を伴うクローン拡大が複数のサンプルに観測され、ドライバー変異獲得が大きなクローン拡大に先立つことがわかった。一方、アトピー性皮膚炎ではドライバー変異を伴わないクローン拡大が見られ、genetic driftが伺われた。乾癬患者では、中年期から高齢健常者の露光部皮膚と類似するドライバー変異を有するクローン拡大が見られた。
露光部皮膚では数mm大のクローン拡大が見られるが、健常者の非露光部皮膚、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬ではクローン拡大は直径0.2mm程度と推測された。観察されるクローンの大きさは年齢とともに大きくなる傾向が見られた。
表皮ケラチノサイトから単細胞由来コロニーを作成し、エクソームシークエンスで体細胞変異を同定した。体細胞変異は年齢とともに蓄積するが、紫外線暴露の度合いにより蓄積の程度が大きく異なることがわかった。アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬では、正常皮膚と比べ体細胞変異蓄積の速度が明らかに異なることはなかった。
以上より、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬では表皮ケラチノサイトのクローン拡大は健常者とは様式が異なるが、その詳細はまだ明らかにできていない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

0.5mmパンチバイオプシーでの解析では、皮膚のクローンサイズに対して大きすぎることが判明した。そのため測定の感度が損なわれ、十分な観察が行えていない。これらを解決するため、さらに小さなサンプルを解析するための手法の検討を行っている。
また、単細胞由来コロニーの解析から、エクソームで観測した変異の数のvariabilityは年齢の他に環境因(紫外線)の影響が大きいことが判明した。そのため、全ゲノムシーケンスに切り替え、シグネチャー解析でシグネチャーの蓄積速度を測定する方策に変え、その解析の妥当性を検討している。

Strategy for Future Research Activity

皮膚ケラチノサイトのクローンサイズが想定より小さいことがわかったため、0.25mmパンチバイオプシー、レーザーマイクロダイセクションなど、さらに小さくサンプルをとる手法で解析する方向とする。また、これらの方法で密にサンプルを採取できるようになるため、近親クローンを大量に観測できる。これをもとに系統樹を再構成し、ドライバー獲得の時期、人生の各時期のおいてアクティブな変異シグネチャーを同定する。
単細胞由来コロニーの解析から、内因的な体細胞変異の蓄積と、環境因による変異の蓄積を分離する必要が生じている。そのため、全ゲノムシーケンスに切り替え、シグネチャー解析を行い、年齢に伴い分子時計(molecular clock)とされるCOSMIC SBS1, SBS5の蓄積速度を決定する方向とする。

Causes of Carryover

サンプル数が想定を下回ったため余剰を生じた。来年度、全ゲノムシーケンスの費用の一部に充当する予定である。

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Published: 2022-12-28  

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