2022 Fiscal Year Research-status Report
頭部血管肉腫患者の血漿におけるメタボロミクス解析と腫瘍増殖機序の解明
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21K16212
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
神保 晴紀 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (70896894)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血管肉腫 / メタボロミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①頭部血管肉腫患者の血漿検体のメタボロミクスを行い、同腫瘍の無い健常者の血漿検体と比較し、有意に変化している低分子代謝物があるのかどうか、② in vitro でその低分子代謝物が腫瘍増殖に直接関与しているのかどうかを解明すること、③ in vivo でそれが治療標的と成り得るかを検証し最終的には新規薬剤の発見につなげることを目的とする。また、④腫瘍増殖に直接関与していない代謝物も含めてバイオマーカーに成り得る代謝物が存在するのかどうかについても併せて探索する。2022年度の成果として、①に関しては健常者の血漿検体の採取が完了し、患者群とのメタボロミクス結果が得られ、解析を進めている段階である。②に関しては予備実験で着目した低分子代謝産物を産生する酵素の阻害剤の存在下では、ヒト血管肉腫細胞株(ISO-HAS-B, MO-LAS-B)、マウス類上皮血管内皮腫(EOMA)の増殖が有意に抑制されることをColony formation assayやWST-8 assayを用いて示し、それが同低分子代謝物を添加することで、抑制が解除されることを示した。増殖が抑制される機序を解明する目的で、前述の酵素阻害剤の存在下においてマイクロアレイでmRNA発現の変化を網羅的に解析することを検討している。③に関しては、まずは血管肉腫のマウスモデルを免疫不全の無いマウスにおいて確立させるべく、マウス血管肉腫細胞株を皮下接種だけでなく腹腔内接種も行って検討しており、生着率の良い条件が探索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroの研究結果が比較的想定通りに進んでいるため。 in vivoに関しては想定している通りには進んでいない部分があるが、研究全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト血漿検体におけるメタボロミクスにおいて着目した低分子代謝産物に関して、ヒト血管肉腫のホルマリン固定標本での免疫染色を数例行って、発現が十分にあることを確認した。検体数をもう少し増やして検討を重ねていく予定である。 in vivo においてはまずは、血管肉腫マウスモデルを確立し、それが完了すればすぐに候補となる治療薬の投与に進んでいく必要がある。
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Causes of Carryover |
血管肉腫のマウスモデルを確立するために実験を繰り返しており、治療薬を投与するまでに至っていない状況であり、治療薬の費用を要していないことで使用額が少ない結果となっている。
増殖が抑制される機序を解明する目的で、酵素阻害剤の存在下においてマイクロアレイでmRNA発現の変化を網羅的に解析することを検討しているため、使用額が増える見込みである。
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