2021 Fiscal Year Research-status Report
Identification of a novel drug resistance mechanism in melanoma cells
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21K16213
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大平 崇人 鳥取大学, 医学部, 助教 (60757665)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メラノーマ / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで研究提案者はPITX1が、SOX9の発現上昇を介してメラノーマのがんドライバー遺伝子として知られているSOX10の発現を顕著に抑制し、抗腫瘍効果(増殖抑制, 細胞死/アポトーシス)を誘導することを明らかにしてきた。一方、PITX1の発現誘導を作用機序とした抗がん剤の臨床への応用例はなく、研究開発の余地が残されている。 本年度は、①BRAF阻害剤耐性クローンにおけるPITX1の抗がん効果の検討と②BRAF阻害剤耐性クローンにおける遺伝子の発現動態解析を実施した。まず、①の実験についてヒトメラノーマ細胞株であるA2058およびSKMEL28を用いて、BRAF阻害剤であるPLX4032を長期間の培養と段階的に濃度を上昇させる実験手法によりBRAF薬剤耐性クローンを樹立を試みた。その結果、A2058では15uMの濃度でも死滅しない薬剤耐性株(A2058R)を、SKMEL28では6uMの濃度でも増殖する薬剤耐性株(SKMEL28R)を樹立することができた。 一方、②の実験では、BRAF阻害剤耐性クローンのマーカー遺伝子として報告されているEGFRの発現を解析した結果、A2058RおよびSKMEL28Rの両方の耐性株において7倍から14倍の発現上昇が確認されたことから予定通りBRAF阻害剤耐性株の樹立が確認された。次に、SOX10の発現を解析したところ、A2058RおよびSKMEL28Rの両方の耐性株において1.5倍から3.5倍程度の発現上昇が確認された。 以上の結果から、BRAF阻害剤耐性株ではさらにSOX10の発現上昇が認められたことからPITX1による抗がん効果が期待できる結果が得られた。一方、一部ではSOX10の発現低下と耐性株の関連性も報告されていることから、SOX9とPITX1の発現動態も含めたさらに詳細な解析の必要性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトメラノーマ細胞株を用いて薬剤耐性株を樹立し、その遺伝子動態解析の一部について予定通り完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
薬剤耐性株を用いてSOX9とPITX1の発現動態も含めたさらに詳細な解析を行う。また、腫瘍モデルマウスを用いたPITX1による制がん効果の検討を行うとともに、PITX1の発現を誘導する低分子化合物のスクリーニング実験を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額が異なった。しかし、その差額は大きくなく、研究計画は変更せず、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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