2023 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of a novel drug resistance mechanism in melanoma cells
Project/Area Number |
21K16213
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大平 崇人 鳥取大学, 医学部, 助教 (60757665)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メラノーマ / PITX1 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで研究実施者はPITX1が、SOX9の発現上昇を介してメラノーマのがんドライバー遺伝子として知られているSOX10の発現を顕著に抑制し、抗腫瘍効果(増殖抑制, 細胞死/アポトーシス)を誘導することを明らかにしてきた。一方、PITX1の発現誘導を作用機序とした抗がん剤の臨床への応用例はなく、研究開発の余地が残されている。 研究期間全体において、メラノーマの分子標的薬であるBRAF阻害剤の耐性株を樹立し、その発現解析からPITX1をキー因子として薬剤耐性株への有効な治療戦略を探ってきた。耐性株では、EGFRに加えてSOX10の発現上昇が認められた。一方で、驚いたことにPITX1とSOX9も耐性株では発現上昇することが示唆された。また、腫瘍モデルマウスを用いたPITX1による制がん効果については、PITX1発現誘導による腫瘍の退縮効果が認められ、さらに免疫染色による解析からPITX1の発現誘導に伴ってSOX9とアポトーシスマーカーであるカスパーゼ3の発現上昇が認められ、SOX10と増殖マーカーであるKi-67では反対に発現低下が認められた。加えて、ヒトの臨床症例においてもマウスモデルと同様の相関性が認められた。 PITX1発現誘導低分子化合物の同定についても研究を進めた結果、ソラフェニブおよびレゴラフェニブ10μMで48時間処理することでメラノーマ細胞株において細胞死が誘導され、さらにそれはPITX1の発現上昇とSOX10の発現低下を伴うものであった。これらの結果からメラノーマにおける新規の抗がん剤の開発につながる糸口を見出すことに成功した。 以上の結果から、PITX1はメラノーマの発生において抗がん効果をもたらすキー因子として機能しているという証拠は蓄積されたが、一方で耐性株においては効果が限定される可能性が示唆された。
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