2021 Fiscal Year Research-status Report
皮膚をとりまく環境因子がいかに制御性T細胞の誘導に関与するか
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21K16215
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鳥居 寛 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (10892721)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / 免疫寛容 / 紫外線 / 角化細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
制御性T細胞 (Treg) は、免疫応答を抑制するT細胞であるが、大きく分けてnaturally occurrin Treg (nTreg) と、induced Treg (iTreg) の2種類が存在する。iTregはサイトカイン環境によって炎症を引き起こす方向にも働くが、nTregはより安定して免疫抑制に関与する。nTregを増加させることは長年不明であったが、近年マウスにおいて紫外線照射によりnTregが増加することが報告された。そこで、どの紫外線波長が最もnTregを誘導するか検討するため、まずは至適紫外線量を波長別に行った。 今回我々は痂皮が形成されない照射量を、最小紅斑量 (Minimal Erythema Dose, MED) とした。紫外線波長別に、まずはブロードバンドUVBとナローバンドUVB、240nmから320nmまで20nm間隔で波長を変更しながら、照射量も変更してマウスの剃毛した背中に照射した。照射後48時間での皮膚の赤くなり具合や、その後の皮膚の反応を7日後まで観察し、波長毎のMEDを決定することができた。ただし、長波長紫外線 (UVA) にあたる320nmは300mJ/cm2 (UVBであれば照射後に痂皮ができる照射量) を照射しても赤くならなかった。この結果は今回の研究にとどまらず、マウス皮膚に紫外線照射する実験において、照射量を設定する際の基準になると考えている。 また、以前の報告結果を確認するため、マウスの皮膚にブロードバンドUVBを照射を行なった。照射後の皮膚を染色するとTregが皮膚組織に多く存在していたため、実験手法として正しいことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスに吸入麻酔を行いながら紫外線照射を行い、照射時間が長い場合は死んでしまうマウスもいたが、MEDは測定することができた。また、以前の報告通りの結果も得られており、現象として正しいことが証明できている。リンパ節の細胞を染色するプロトコールも作成中で、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
各波長の1MEDから紫外線照射し、マウスのリンパ節の細胞を染色し、nTregが増えるかどうか確認する。そして、どの波長が最もnTergを増加させるのかをまずは決定する。その波長が決定でき次第、照射前後での皮膚細菌叢の違い、マウス角化細胞と線維芽細胞の遺伝子発現の違いについて検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
博士取得が1年遅れ、科研費採択を1年延長してもらったため、次年度の使用額が生じている。今後は、マウス購入費、細胞を染色するための抗体費用、染色のための試薬購入費にする予定である。また、遺伝子発現を確認するため、外注費用もかかると思われる。
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