2022 Fiscal Year Research-status Report
皮膚をとりまく環境因子がいかに制御性T細胞の誘導に関与するか
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21K16215
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鳥居 寛 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (10892721)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / 免疫寛容 / 紫外線 / 角化細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
制御性T細胞 (Treg) は、免疫応答を抑制するT細胞であるが、大きく分けてnaturally occurring Treg (nTreg) と、induced Treg (iTreg) の2種類が存在する。iTregはサイトカイン環境によって炎症を引き起こす方向にも働くが、nTregはより安定して免疫抑制に関与する。nTregを増加させることは長年不明であったが、近年マウスにおいて紫外線照射によりnTregが増加することが報告された。そこで、どの紫外線波長が最もnTregを誘導するか検討するため、まずは至適紫外線量を波長別に行った。前年度では紫外線量を波長別にマウスに照射し、最小紅斑量 (Minimal Erythema Dose, MED) を確認することができた。 本年度では、MEDを起こさない照射量で波長別に紫外線を照射し、どの波長が最もnTregを増やすことができるか検討を行っている。以前の報告のとおり (Yamazaki S, et al. J Immunol. 2014;193(11):5488-5497)、紫外線照射を行った皮膚において、免疫組織染色でTregと樹状細胞とのクラスタリング像が確認され、紫外線がTregの動向に影響を与える可能性について確認できた。またUVCのような短波長領域においてもTregと樹状細胞のクラスタリング像が見られ、治療に使われているUVB波長だけでなく、幅広い波長が皮膚に影響を与えている可能性がわかった。皮膚だけでなくリンパ節や脾臓についても検証を行っており、どの波長が最もTregの数に影響を与えるかまだわかっておらず、今後検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前の報告通りの結果を幅広い波長で得られており、至適波長の探索は少しずつ進んでいる。リンパ節の細胞を染色するプロトコールもできたため、どのTregが増えているか確認することができるようになった。脾臓のリンパ球についても染色可能となり、解析が進んでいくと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は紫外線照射した後のリンパ節の細胞で、RNAシークエンスやシングルセルシークエンスを行い、フローサイトメーターの結果と合わせて、Tregの動向について検討を行いたい。その後、至適波長が決定することができれば、皮膚細菌叢の違い、角化細胞の反応についても研究をすすめたい。
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Causes of Carryover |
科研費採択を1年延期したため、次年度の使用額が生じた。 次年度はRNA-seqでの遺伝子発現解析、細胞の多重染色のための抗体を購入予定とし、研究費を使用したい。
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