2021 Fiscal Year Research-status Report
重症薬疹の早期バイオマーカーgalectin-7の迅速診断キットの開発と臨床応用
Project/Area Number |
21K16222
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
濱 菜摘 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50529625)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重症薬疹 / バイオマーカー / スティーブンス・ジョンソン症候群 / 中毒性表皮壊死症 / Galectin-7 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症な薬疹の1つであるStevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死症(SJS/TEN)は全身の皮膚や粘膜がただれて未だ生命に関わる重篤な疾患であるが、発症してまもないうちは皮膚の赤みが主体であり、重症ではない通常のタイプの薬疹との区別がつきにくい。しかしSJS/TENの発症早期に診断がつけば、早期に治療ができ、生命予後も改善することが期待されている。そのため、我々は先行研究でSJS/TENの患者血清中のgalectin-7がSJS/TENに特異的で診断に有用であり、SJS/TENの有効なバイオマーカー候補であることを報告した。 本研究では実臨床でのgalectin-7の迅速な測定を目指して迅速診断キット作成を目標にしている。患者血清や、より低侵襲かつgalectin-7が高濃度である水疱液での診断が可能となれば外来やベッドサイドでのSJS/TEN診断の補助となり得るためキット作成を委託機関と進める。 また、同時にSJS/TENと類似した臨床像を呈する他疾患(多形滲出性紅斑重症型、多発性固定薬疹、重症GVHDなど)であったり、新規薬剤・ワクチン等による重症型の副反応についてもgalectin-7が診断マーカーとなりえるか検索をすすめている。さらに治療に難渋するTENについても病勢や治療経過とgalectin-7の推移から病勢マーカーとなり得るか複数症例で検証している。これらについては国内学会での発表と論文発表の準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SJS/TENにおけるgalectin-7のバイオマーカーとしてのポテンシャルを評価する行程をキット作成の前段階で確認中である。具体的には通常型の薬疹である多形滲出性紅斑、固定薬疹、近年増加傾向にある重症薬疹の薬剤性過敏症症候群、また免疫チェックポイント阻害薬やSARS-CoV-2ワクチン等による薬疹やSJS/TENでの鑑別が可能か確認している。希少疾患であるので他施設からの検体測定依頼も重要であり複数検査中であるが、その中でも軽症~中等症のGVHDではgalectin-7の上昇がみられないものの、GVHDgrade4でTENとの鑑別が困難な症例においてgalectin-7の上昇が見られたことから、TEN様GVHDではTENとの鑑別は難しい可能性があることが判明した。これらを踏まえ、キット作成後の評価の指標とする。実際の診断キット作成ができていないことからやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
委託会社と連携し迅速診断キット作成を進める。 一方でSJS/TENと鑑別が困難な様々な疾患について、近年急増する新規薬剤やSARS-CoV-2ワクチンによる重症薬疹などをふくめた早期診断に有用であるか検証し、国内の各機関から依頼されたサンプルの測定も継続し、データを蓄積する。 さらにキット作成に成功すれば厚労科研調査研究班の各大学へ検証を依頼する。 また、重症薬疹の病態解明へ寄与するためマルチプレックスアッセイにてgalectin-7を含む複数のタンパク測定も試みたい。
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Causes of Carryover |
迅速キットの作成が2021年度にはできなかったため2022年度へ計上する。
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Research Products
(3 results)