2021 Fiscal Year Research-status Report
免疫監視機構に注目した術後補助療法における再発予防のメカニズム解析
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21K16224
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中村 謙太 信州大学, 医学部, 助教 (90804170)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / 術後補助療法 / レパトア / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的であるが、 悪性黒色腫は術後補助療法(抗PD-1抗体)を行っても、術後12か月以内に約3割の再発がみられることから、この再発抑制のメカニズムを解析し、再発抑制による予後改善につなげる。そのために、① 術後補助療法前後での末梢血のT細胞クローンの変動が、再発抑制と関連するのか、② 術後補助療法前後での末梢血のサイトカインやケモカインが、再発抑制と関連するのかを明らかにする。 ①、②について、悪性黒色腫症例のT細胞や腫瘍検体のレパトア解析や、末梢血のサイトカインとケモカインの網羅的測定を随時進めている。また、症例の臨床情報の集積も並行して行っている。されなる症例数の集積が必要であるが、術後補助療法で再発がみられる症例では、T細胞のクローン増殖がみられない傾向がある。反対に、術後補助療法で1年以上の再発がみられなかった症例では、T細胞のクローン増殖がみられる傾向があった。これは、進行期悪性黒色腫の症例に置いて、抗PD-1抗体が2年以上著効している症例と同等のクローン増殖であった。さらに、可能な症例では、手術時の腫瘍検体から腫瘍浸潤リンパ球のレパトア解析を行い、末梢血中のT細胞クローンとの共通クローンの変動を解析している。末梢血のサイトカインについては、以前報告したCCL5やCXCL12の変動に着目して、再発の予測因子になりうるか検討している。①、②ともに、今後も、さらなる症例集積を行って解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、悪性黒色腫の術後補助療法を開始する症例において、末梢血単核球の採取と、手術時の検体の凍結保存を継続している。2021年度では、5症例を追加した。また、対象として、長期に免疫チェックポイント阻害薬が奏功している進行期の悪性黒色腫症例や、治療が奏功しなかった症例において、同様に末梢血単核球の採取を行い、レパトア解析を進めている。また、これらの症例において、経時的な末梢血の保存と、各種サイトカインやケモカインの測定を実施している。以上から、当初の計画通り、サンプルの回収と解析が進められております。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、悪性黒色腫の術後補助療法の症例において、末梢血単核球の採取と、手術時の検体の保存、レパトア解析を進めていく。また、同時に対象症例として、進行期悪性黒色腫の症例の各種サンプルの回収も並行して行っていく。さらに、臨床情報についても、随時更新しており、レパトアの変化や各種血中因子との関連を解析していく。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、特にサンプルの集積までに尽力した。そのため、レパトア解析や各種サイトカインの測定まで行えていないサンプルが多い。これらの未測定のサンプルについては、経時的変化を正確に解析するために、可能な範囲で、まとめてRNA抽出とレパトア解析や、サイトカイン測定を行うのが良いと考えている。令和4年度では、修正したサンプルの解析を一括して行っていくため、令和3年度の研究費の一部を繰り越し、令和4年度にて使用したいと考えている。
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