2021 Fiscal Year Research-status Report
IgH遺伝子再構成とRAS変異を標的とした多発性骨髄腫の低侵襲診断
Project/Area Number |
21K16238
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山本 昌代 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (30596284)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | RAS遺伝子変異 / cell free DNA / 多発性骨髄腫 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本学の倫理委員会の承認を得た後、多発性骨髄腫(MM)およびMGUS患者を対象に骨髄検体由来のDNAと血漿由来のcfDNAを用いて次世代シークエンサー(NGS)を用いて遺伝子変異解析を行い、RAS遺伝子(KRAS、NRAS、BRAF)の有無を検索した。2021年度中に当院で延べ27例解析を行い、骨髄検体由来のDNAでの解析でKRAS変異陽性例が4例、NRAS変異陽性例が4例、BRAF変異陽性例が1例確認された。 RAS変異陽性例を中心に血漿cfDNAを用いたdigital PCR解析によってRAS遺伝子のmutation frequency(MAF)について経過を追い、現在、MMやMGUSの病勢とMAFとの相関の有無があるか検討中である。 その中で、再発・難治性MMでKRAS遺伝子変異陽性例で、治療経過や病勢とKRAS MAFとの相関がみられていた。さらに、現在MMの微笑残存病変(MRD)として有用とされている骨髄検体を用いたマルチフローサイトメトリーによる解析でMRD negativeだったのにも関わらず、同時期にKRAS MAFが上昇傾向となり、その後早期にMMの再燃を認めた症例を経験した。本症例は骨髄中に腫瘍細胞は見られなかったが、再燃時は骨病変が多発しており、骨病変由来のcfDNAを用いた解析によるKRAS MAFの評価が病勢を反映する可能性が考えられた。本症例については、2022年度に開催される第84回日本血液学会学術集会にて発表予定である。 ほかの症例についても病勢とMAFとの相関性がみられている症例もあり、それらについても今後詳細な検討を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の1年間で27例の症例で解析を行えており、その中でRAS遺伝子変異陽性の症例が合計9例となっている。それらについて現在、定期的にcfDNAを採取してMMやMGUSの病勢とRAS MAFとの相関性について検討できている。さらに、今後も新規症例の蓄積が見込める。 当初研究目的であるRAS遺伝子変異の有無と予後との関連についての解析を行うにはまだ症例が不足しているが、現在までの状況を踏まえると今後のさらなる症例の蓄積により、本研究の予定期間中の解析が可能となる見込みである。また、現段階で少なくともMMの病勢とRAS MAFとの相関性がみられている症例も散見されていることから、RAS MAFがMMの病勢評価として用いられる可能性についても検討できると考えており、現時点ではおおむね順調に研究は進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらにMMおよびMGUS症例を蓄積し、骨髄由来のDNAおよび血漿由来のcfDNAを用いたRAS遺伝子変異解析を継続し、まずはMMおよびMGUSの病勢とRAS MAFとの相関性がみられるかの検討を継続していく。また、可能であれば現在は骨髄検体でしか評価できないMMのMRDについて、血漿由来のcfDNAが代用可能であるかについても検討したい。 また、症例がある程度蓄積できた段階で、RAS遺伝子変異の有無で予後や治療反応性等に差があるかの解析を予定している。
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Causes of Carryover |
2021年度は本研究に必要な物品の購入に研究費を当てているが、使用している試薬は高額なものも多い。そのため、予算を考慮し、計画的に使用しながら研究を継続した結果、想定よりも費用が掛からなかったため次年度使用額が生じた。今回発生した次年度使用額については、次年度中に必要な試薬等の購入にあてる予定である。
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