2022 Fiscal Year Research-status Report
IgH遺伝子再構成とRAS変異を標的とした多発性骨髄腫の低侵襲診断
Project/Area Number |
21K16238
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山本 昌代 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (30596284)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | RAS遺伝子変異 / cell free DNA / 多発性骨髄腫 / 次世代シーケンサー / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究開始時より、多発性骨髄腫(MM)及びMGUSの患者で研究への同意を得られた患者を対象に、引き続き骨髄穿刺で得られた骨髄由来の単核球と末梢血中のcell free DNA(cfDNA)を用いてRAS遺伝子変異を含めたdriver mutationの有無と、driver mutationがあった場合にcfDNAで当該遺伝子変異のMAFを測定し、MMの病勢と相関性があるか検討を続けている。 その中で、再発のIgA-κ型のMM症例で再発時の骨髄由来の単核球細胞由来のDNAでの次世代シークエンサー(NGS)による解析でKRAS mutationが検出された症例で、末梢血の血漿由来のcfDNAを用いてKRAS MAFを経時的に解析することで、臨床的にMMの病勢を反映するとされている血清free light chainや血清IgA値よりも早期に再発の兆候をとらえることができた症例を経験し、第84回日本血液学会学術集会にて報告した。本症例については、現在論文投稿に向けて準備中である。 また、骨の形質細胞腫を有するMM症例で、形質細胞腫と骨髄とでdriver mutationの発現頻度やその種類に差がある症例を認めた。これらは形質細胞腫のほうが骨髄よりもdriver mutationのMAFが高い傾向にあり、形質細胞腫のほうが骨髄よりも悪性度が高い可能性を示唆するものと推定している。本内容については、第85回日本血液学会学術集会に演題登録をして応募中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、本研究に適する症例を蓄積している段階であるが、症例の蓄積や骨髄および末梢血を用いた解析については順調に進行しており、研究はおおむね順調に進展していると考えている、
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Strategy for Future Research Activity |
MMでは約40%の症例でRAS遺伝子変異が見られ、RAS遺伝子陽性例は予後不良との報告はあるが、具体的にどの程度差が出るかについて報告はされていない。そのため、症例の集積状況を勘案しながら、今後は初発の症候性MM症例を対象にRAS遺伝子変異の有無でOSやPFSなど、予後に差があるか解析することを検討している。 また、それと並行して、cfDNAでのdriver mutationのMAF測定がMMの病勢を反映するか、また、現在は骨髄での評価が標準とされているMRDの測定にcfDNAを用いた解析が有用であるか検討することも予定している。
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Causes of Carryover |
本研究に際して現在論文投稿準備中であるが、論文投稿後、リバイスの差し戻しに時間がかかったため論文投稿が次年度に繰り越しとなった。今後、論文投稿料やそれに際する査読に要する費用、また本研究に必要な物品購入にあてる予定である。
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