2023 Fiscal Year Research-status Report
血友病関節症の解明と新規治療法開発:骨芽細胞、MSC、メトホルミンに着目して
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21K16255
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
小川 実加 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70894369)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 血友病 / 間葉系幹細胞 / 血友病性関節症 / メトホルミン / 7ND / 凝固 / 血管新生 / ADSC |
Outline of Annual Research Achievements |
血友病性関節症は、患者のQOLを著しく低下させるためその機序の解明と治療法の開発は大きな研究課題である。関節出血→炎症細胞の浸潤→滑膜血管新生→易出血性→再出血→関節症(軟骨破壊及び滑膜線維化)という悪循環が存在していると考えられている。 出血量及び続発性炎症を最小限とする迅速な関節出血止血法と、既に形成されている滑膜異常血管を消失させる治療法を開発する。具体的には、遺伝子導入により抗炎症作用を高めた脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADSC)、糖尿病薬であるメトホルミンの効果を血友病マウスモデルにて検証する。 遺伝子導入間葉系幹細胞(MSC)の樹立:関節腔内は、凝固カスケードの引き金となる組織因子が少ない。トロンビン形成が不十分で凝固因子を補充しても止血効果が得られにくいが、トロンビン生成量を増 加させると炎症を惹起する。この相反する問題を解決するため、ADSCに着目した。その細胞表面には組織因子が発現しており、血液凝固を促進する。もともと強力な炎症抑制作用を有するが、炎症性細胞の浸潤を強力に阻害する7ND (CCL2のドミナントネガティブ変異体)をADSCに遺伝子導入し(7ND-ADSC)、その作用を増強する。血友病マウスに膝関節出血を惹起し、その関節腔内に7ND-ADSCを注入し、出血量の減少及び関節症進展抑制が得られるか確認をする。2022年度では7ND-ADSCを樹立し形質確認(導入効率、7ND発現量、血液凝固促進能、分化能)した。 現在血友病マウスを使用した実験のセッティング(個体数の確保・関節穿刺手技の確立・病理免疫染色条件の確立・micro CT評価)をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は血友病マウスを使用した実験のセッティングのため、血友病マウスの個体数確保をすすめている。また適正なMSC投与量の評価、関節穿刺手技の確立を行った。 予備実験として、少数の個体数でRPMI、control ADSC、7ND-ADSCを関節へ局所投与し、その関節径・出血量を観察し、2週間後に屠殺し、HE染色や抗CD31抗体やF4/80を使った免疫染色で比較を行っている。 すでに形成されてしまった新生異常血管に対する治療として、新生異常血管に対するメトホルミンの抑制効果を明らかとする。血友病マウス関節出血を誘導し関節症を発症させる。その後、飲水にメトホルミンを添加しマウスに毎日服用させる。その予備実験として、現在メトホルミンを経口投与し、忍容性、毒性の評価を行っている。 血友病マウスは比較的小さな外相による出血により死亡に至ることが多く、個体数の確保が目下の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
病理評価に必要な免疫染色の条件が確定でき、メトホルミンの毒性・忍容性についても評価できたため、今後は個体数を増やし、実験を行う。 関節評価に十分(骨端線の成長が止まった)な条件のマウスの個体数確保に時間を要している(BL6マウスと比較して、血友病マウスは体重が少なく、死亡率が高い)が、今後確保できたところで関節穿刺を行い、MSCの止血効果・炎症や血管新生の評価・メトホルミン内服下での関節評価、micro CTを用いた骨評価も行っていく予定である。メトホルミンの内服の期間は予備実験で8週間程度(ヒトで5年程度)は問題なく投与できており、個体数を増やして予定する。
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Causes of Carryover |
血友病マウスの死亡率が高く、in vivo実験移行までに時間がかかっており、昨年分の研究費を本年度使用し、本年度分を翌年となった。
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Research Products
(1 results)