2021 Fiscal Year Research-status Report
肝臓GVHDにおける腸内細菌叢と肝臓免疫担当細胞とのクロストークの解明
Project/Area Number |
21K16259
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒 隆英 北海道大学, 大学病院, 助教 (50845302)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 肝臓GVHD |
Outline of Annual Research Achievements |
まず肝臓GVHDのマウスモデルの作製を行った。すでに急性GVHDのマウスモデルとして確立している、ドナーにB6マウス(H-2b)、レシピエントにBDF1マウス(H-2b/d)を用いたMHC半合致骨髄移植モデルを用いた。ただし、このモデルでは肝臓GVHDに比して腸管GVHDが先行するため、前処置として用いる全身放射線照射の照射量を軽減させることで腸管GVHDによる死亡を軽減させて、肝臓GVHDの評価を行えるように調整した。 続いて、このモデルを用いて肝臓GVHDの有無について組織学的検討を行った。allogeneic群ではsyngeneic群と比較して、移植後14日目以降の肝臓において、炎症細胞の門脈域への浸潤、胆管上皮細胞のアポトーシス・剥離などの所見が有意に認められた。これらの組織学的所見はヒトにおける肝臓GVHDの組織所見と類似しており、本移植モデルが肝臓GVHDの評価に有用と考えられた。 さらに、移植後に肝臓へ浸潤する単核細胞(liver-infiltrating mononuclear cells: LMCs)の動態についてフローサイトメトリー解析を行った。移植後1週間でLMCsは全てドナー由来の細胞に置き換わっていた。また、allogeneic群ではsyngeneic群と比較して有意に細胞浸潤を認めたが、CD4陽性/CD8陽性T細胞が移植後1週間肝臓へ浸潤するのに対して、単球/マクロファージはT細胞に遅れて移植後2~3週後に浸潤してくることが明らかとなり、両者の間になんらかのクロストークが存在する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝臓GVHDのマウスモデルを作製し、同種移植後に肝臓へ浸潤する炎症細胞群の動態が明らかとなった。本来であれば肝臓GVHDに関連するとされるケモカイン等の解析を行って、T細胞と単球/マクロファージとの関係性について詳細に検討をしたいと考えていたが、現時点ではまだできていない。その原因としては、世界的なSARS-COV-2の流行が遷延している関係で、動物実験を断続的にしか続けることができなかったことが挙げられる。上記を踏まえて進捗状況はやや遅れていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
SARS-COV-2流行は依然として続いていくことが予想されるが、幸いにてして肝臓GVHDのモデルはすでに確立できており、引き続き実験を進めていく。本年度行えなかったケモカインの解析に加えて、同種移植後の各臓器の細菌叢を検討し、腸内細菌が肝臓GVHDに与える影響について検討していく予定である。
|
-
-
-
-
[Presentation] Gvhd Targets Organoid-Forming Biliary Epithelial Stem Cells Via a TGF-β-Dependent Manner2021
Author(s)
Yuta Hasegawa, Daigo Hashimoto, Ryo Kikuchi, Zixuan Zhang, Hajime Senjo, Tomoko Sekiguchi, Eiko Hayase, Takahiro Tateno, Emi Yokoyama, Shuichiro Takahashi, Xuanzhong Chen, Kazuki Yoneda, Hiroyuki Ohigashi, Takahide Ara, and Takanori Teshima.
Organizer
ASH Annual Meetings 2021