2021 Fiscal Year Research-status Report
Donor derived neoantigens specific TCR-T therapy against multiple myeloma in preclinical model
Project/Area Number |
21K16278
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡田 匡央 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (30749479)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Neoantigens / TCR-T / Multiple Myeloma |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫(Multiple Myeloma, MM)の完全寛解を目指した新規の治療戦略として、off-the-shelfの配列を用いたドナー由来ネオ抗原特異的TCR-T輸注療法の有効性を提案するための基盤を築くことを目的とした本研究において、まずMM細胞株のRNAシークエンス解析を行い、遺伝子変異箇所を抽出した。該当するHLA拘束性に従って、これら遺伝子変異のコードするアミノ酸配列のMHC-I抗原提示可能性の高いペプチド35個を、予測アルゴリズムを用いて算出した。これら35個のネオ抗原候補ペプチドを合成し、健常人ドナー末梢血由来CD8+T細胞の応答性をIFN-g ELISPOT法、CD137 Flowcytometry法を指標に評価した。その結果、7人のドナーCD8+T細胞より、7つのペプチドに対して、応答性があることが確認された。 次に、これらのTCR配列を調べるため、単一細胞よりRNAを抽出し、そのTCRA鎖、TCRB鎖の配列をサンガー法により解析するsingle cell TCRシークエンスの手法を独自に開発した。この開発した手法を用いることで、ペプチド応答性T細胞のTCR配列を明らかとした。ウイルスベクターに、取得されたTCR配列をクローニングし、ヒトT細胞株に遺伝子導入し、TCR再構築細胞を作成した。そのペプチド反応性、並びにMM細胞株反応性を検討したところ、ネオ抗原とそのTCR配列ペアを新規に同定することに成功した。 このネオ抗原は、複数のMM細胞株に共通して発現していた。ドナー末梢血よりTCR-T細胞を作成したところ、それらMM細胞株に対して殺傷能があることが確認された。 このことから、MM治療の一つとして、ドナー由来ネオ抗原特異的TCR-T輸注療法が有効である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MM細胞株からネオ抗原候補を抽出し、健常人ドナー末梢血由来CD8+T細胞が応答することを見出し、そのTCR配列を取得することができたから。さらに、取得されたTCRを、独立したドナーに再構築したTCR-T細胞が、標的のMM細胞株に対して、増強した殺傷能を示すことが明らかとなったから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在までの解析で新規に明らかとなったネオ抗原とそのTCR配列を基調としたTCR-T移入療法が、実際に治療効果を持つかどうかを検討するため、免疫不全マウスモデルを用いた解析を行う。 がん特異的遺伝子変異に由来する多様ながん抗原は、患者ごとに異なるため、がん抗原とがん特異的TCRのライブラリ構築を加速し、診断時に該当するネオ抗原発現が確認された場合の治療戦略の一つとして、またそうでない場合にも、本研究の流れに沿ったネオ抗原の探索により、新たな治療標的が提案できるよう効率化を推進する。 本研究はその基盤になるため、有効性、実現可能性について検証する。
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Causes of Carryover |
試薬を節約して使用したので、次年度に残すことができた。 次年度は、マウスモデルの解析を行うため、大量の細胞培養が必要であり、その用途に使用したい。
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