2021 Fiscal Year Research-status Report
機能ゲノム学的アプローチによる膠原病性差の原因解明
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21K16282
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 峰人 東京大学, 大学院医学系研究科, 特任助教 (10879943)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性差 / 膠原病 / 機能ゲノム学 / eQTL解析 / 免疫細胞 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
膠原病が強い性差を有し、ほとんどの自己免疫疾患が女性に多い事は臨床的に良く知られている。性ホルモンによる免疫細胞の活性化、X染色体不活化回避遺伝子の関与など様々な原因が推測されて来たものの、膠原病の性差を規定する要因につき、詳細は分かっていない。近年ではCOVID-19の重症化リスクが男性で高い事が報告されている。免疫機能の性差を理解する事は、膠原病・感染症の病態を理解する上で重要と考えられる。 本課題では、性差が及ぼす免疫細胞のエピゲノム修飾やトランスクリプトームへの影響につき、2021年に申請者らが報告した細胞種特異的expression quantitative trait loci (eQTL)データベース (ImmuNexUT)や公共エピゲノムデータベースを用いて検討し、解析手法を確立すると共に免疫細胞における性差を網羅的に理解する事を主たる目標とする。 2021年度は、X染色体不活化回避遺伝子の推定アルゴリズムや、性別依存的eQTL解析、アレル特異的発現解析などのモデル構築を行った。これらを用いて、女性で発現が男性より亢進する遺伝子群、女性と男性でeQTL効果量が異なる遺伝子群などを多数同定した。その結果、性差の影響が免疫細胞種によって大きく異なる事が明らかとなった。この事から、細胞種特異的な機能ゲノム研究が、性差の理解のために重要である事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は性別特異的eQTL解析のモデル構築やエピゲノムデータを用いた妥当性の検証、X染色体不活化回避遺伝子の推定アルゴリズムの構築、アレル特異的発現解析モデルの構築などを行った。性差の影響を受ける遺伝子やeQTLを多数同定し、当初の目標を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で同定した性別特異的eQTLや発現遺伝子につき、ゲノムワイド関連解析で同定された様々な疾患の感受性多型との統合解析を行う事で、疾患リスクの性差を説明し得る遺伝子やその発現制御機構の同定に取り組む。さらに、今回明らかとなった性差の遺伝子発現制御への影響の細胞種特異性についてより詳細に検討するため、シングル・セルデータを用いた解析も進める予定である。
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