2021 Fiscal Year Research-status Report
全身性エリテマトーデスの抗DNA抗体とHLAクラスIIの関連性についての研究
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21K16285
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 英輝 京都大学, 医学研究科, 助教 (50894755)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 自己免疫疾患 / 自己抗体 / 主要組織適合遺伝子複合体 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は全身性エリテマトーデス(SLE)に関わるHLAクラスII分子の機能を解析し、抗DNA抗体の産生機序を解明することを目的とする。そのため、実験①HLAクラスII分子によるDNAの提示能を解析し、HLAクラスII分子によって提示されるDNAの臨床的意義を検討し、さらに実験②HLAクラスII分子によって提示されるDNAによるDNA応答性B細胞受容体(BCR)刺激実験を進行中である。 まず、HLAクラスII分子(HLA-DR15)発現細胞とゲノムDNAと共培養したところ、細胞表面のHLA-DR15とDNAの結合が確認された。Biotin化DNAをHLAクラスII発現細胞と共培養したlysateをstreptavidinで沈降しWestern-blotしたところ、DNAとHLA-DR15の結合が確認された。さらに、HLA-DR15のペプチド結合溝に特異的に結合するSP3ペプチドを用いたところ、DNAのHLAクラスII分子への結合が競合阻害され、HLAクラスII分子へのDNAの特異性が検証された。HLAクラスII分子各アリルとDNAの結合能がSLEの疾患感受性と関連するかを検討したところ、有意な相関がみとめられた(r=0.64,p=0.017)。 B16F10細胞はIFN-刺激下で細胞表面にMHCクラスII(H-2b)分子を発現するため、IFN-γ刺激下でゲノムDNAと共培養したところ、内在性のMHCクラスII分子とDNAの結合が確認された。さらにMHCクラスII transactivatorであるCIITA遺伝子をknock outしMHCクラスIIが発現しない細胞ラインと野生型のB16F10細胞のDNAの提示能を比較したところ、MHCクラスII発現時にDNAの結合が示された。 現在、DNA応答性BCR発現レポーター細胞を作成し、実験②を進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、2021年度前半(3~6か月間)に実験①(HLAクラスII分子によるDNAの提示能の解析)、2021年度後半/2022年度前半(6~12か月間)に実験②(HLAクラスII分子によって提示されるDNAによるDNA応答性BCR刺激実験)を計画していた。 これまで実験①に関してはおおよそHLAクラスII分子によって提示されるDNAの臨床的意義の検討を行うことができた。 また、実験②においてDNA応答性B細胞受容体(BCR)を発現したレポーター細胞を作成できており、今後DNAに対する応答性などを解析が可能な状況である。 ここまでの途中経過を海外の主要な免疫学会で発表し意見を交換したうえでさらなる実験に進もうと考えていた。そのために旅費も申請していた。しかし、コロナウイルス感染予防のため海外の学会への参加は中止し物品費に旅費の分を当てた。このため、海外の主要な免疫学者との意見交換は十分に行えていない。今後コロナウイルス感染が収束すれば、交流する機会を是非とも持ちたいと考えている。 以上より、研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はまず実験②(HLAクラスII分子によって提示されるDNAによるDNA応答性B細胞受容体(BCR)刺激実験)を進行する。それが完了すれば、当初の予定通り、2022年度/2023年度前半(6~18か月間)に実験③(マウスを用いたDNA/HLAクラスII分子複合体による抗DNA抗体産生実験)を行う予定である。ただし、COVID19蔓延のために実験の中断を余儀なくされる可能性がある。これまでは主に細胞ラインを用いた実験であったため、実験中断となった場合でも時間的、費用面でもやり直しが十分に可能であった。今後マウスを用いる場合、実験中断になれば、時間、費用面での負担が大きくなると思われる。そのため、研究者、研究室全体の感染予防策が重要と思われる。また、今後コロナウイルス感染が収束しつつあれば、海外の主要な研究者と交流する機会を是非とも持ちたいと考えている。それによってさらに精度の高い研究が可能になると考えている。
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[Journal Article] Anti-Double-Stranded DNA Antibodies Recognize DNA Presented on HLA Class II Molecules of Systemic Lupus Erythematosus Risk Alleles2022
Author(s)
Tsuji H, Ohmura K, Jin H, Naito R, Arase N, Kohyama M, Suenaga T, Sakakibara S, Kochi Y, Okada Y, Yamamoto K, Kikutani H, Morinobu A, Mimori T, Arase H.
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Journal Title
Arthritis Rheumatol.
Volume: 74(1)
Pages: 105-111
DOI
Peer Reviewed