2021 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチ骨破壊に関わる細胞間ネットワークを制御するADAM10の機能解明
Project/Area Number |
21K16293
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
石井 翔 昭和大学, 医学部, 助教 (30868899)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ADAM10 / 関節リウマチ / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ADAM10(A disintegrin and metalloprotease 10)は、ADAM familyに属する膜結合型プロテアーゼであり、30種類以上の膜タンパク質を切断する。これまでADAM10は関節リウマチの滑膜組織に高発現しており、滑膜線維芽細胞や血管内皮細胞において炎症細胞浸潤や血管新生に関与すると報告されている。本研究では、関節リウマチの骨破壊において中心的な役割を有する破骨細胞および骨芽細胞においてどのような役割を要するかを解明する。
これまでの研究実績として、ヒト骨肉腫由来骨芽細胞(MG-63)、関節リウマチ患者の骨組織より分離培養した骨芽細胞(RA-HOB)における炎症性サイトカインの産生能、ADAM10の発現について確認している。MG-63、RA-HOBをTNF-αで刺激し、培養液上清中のサイトカインの濃度をELISA法により測定したところ、非刺激群と比べ、培養液上清中のMCP-1、ICAM-1、RANTES、ENA78、IL-8が増加した。また免疫蛍光抗体法を用いて、MG-63、RA-HOBにおけるADAM10の発現について検討したところ、MG-63、RA-HOBにはADAM-10が発現していた。MG-63、RA-HOBをTNF-αで刺激し、qPCR法でADAM10のmRNAを測定したところ、ADAM10の発現が亢進した。
以上の結果からADAM10は関節リウマチの骨芽細胞に発現しており、その炎症に関与している可能性が示唆される。今後、ADAM10の更なる機能解析を行う方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたよりも関節リウマチ由来の骨芽細胞の培養・発育が遅れている。 またsiRNAを用いたADAM10のノックダウンが上手くいかず、繰り返し実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き滑膜・骨組織より分離培養した滑膜線維芽細胞、骨芽細胞を用いてADAM10の機能解析を行う。また末梢血単核球よりM-CSF、RANKLによって破骨細胞を分化誘導し、破骨細胞におけるADAM10の機能解析を行う。また培養上清の使用や各細胞の共存培養を行うことで、ADAM10の炎症下における破骨細胞、骨芽細胞、滑膜線維芽細胞の細胞間相互作用を解明する。その他、破骨細胞特異的ADAM10欠損マウスAdam10f/f;Mx1/Cre+(A10/Mx1)マウスや骨芽細胞特異的Adam10欠損マウスの骨髄細胞を用いて、ADAM10の機能解析・細胞間相互作用を解明する。ADAM10阻害薬を用いてNOTCHシグナルやCD44シグナルを中心とした骨吸収能に関わるシグナル解析を行う。想定通りの実験結果が得られない場合、ADAM17の機能についても検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりも関節リウマチ由来の骨芽細胞の培養・発育が遅れていること、siRNA法によるADAM10のノックダウンが想定通りいかず、繰り返し実験を行っているため、2021年度に予定していた実験を2022年度に行う。
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