2021 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチの病態形成におけるFGFR1陽性CD4陽性T細胞の役割の解明
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21K16297
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田中 繁 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30822051)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / FGFR1 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチは破壊性の慢性炎症性関節炎である。近年、生物学的製剤等の実用化によって、その関節予後は改善したものの、依然として寛解に至らない患者が存在する。よって新しい病態理解に基づく新規治療法の開発が求められている。これまでの研究によって関節リウマチ病態の形成にCD4陽性T細胞が重要な役割を果たしていることが示唆されている。 本研究者は関節リウマチ患者から提供を受けたCD4陽性T細胞のDNAマイクロアレイ解析結果から、Fibroblast growth factor receptor 1(FGFR1)に着目し、同分子を発現するCD4陽性T細胞が関節リウマチ患者の末梢血や滑膜組織に存在することを見出した。そこで本研究では関節リウマチ病態におけるFGFR1陽性CD4陽性T細胞の機能について解析することを目的とした。 本年度は患者血液中のFGFR1陽性CD4陽性細胞の解析を行った。健常人に比べて関節リウマチ患者ではFGFR1陽性CD4陽性T細胞の割合が有意に上昇していた。また、FGFR1陽性細胞は陰性細胞と比べて活性化状態にあることが明らかとなった。 一方、マウス関節炎モデルであるコラーゲン誘導性関節炎を作成し、関節部やドレナージリンパ節の免疫細胞を解析したところ、FGFR1陽性CD4陽性T細胞はごく僅かに存在するのみであった。マウスモデルでの解析の実現可能性について検討中である。 したがって、マウスではなく、関節リウマチ患者の末梢血から得られたFGFR1陽性CD4陽性T細胞のRNAシーケンスを実施した。現在、データを詳細に解析しており、これを参考にFGFR1陽性CD4陽性T細胞の機能解析に移る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関節リウマチ患者の末梢血中のFGFR1陽性CD4陽性T細胞の同定や、その特徴についてフローサイトメトリーによる解析がほぼ完了している。また、関節リウマチ患者や他の関節疾患患者から提供を受けた滑膜組織も順調に数を増している。予定通り滑膜組織におけるFGFR1陽性CD4陽性T細胞の解析が可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス関節炎モデルではFGFR1陽性CD4陽性T細胞がそれほど存在していないことが明らかとなったため、研究計画を修正し、FGFR1陽性CD4陽性T細胞の機能をヒト細胞を用いて検証することを予定している。今後は関節リウマチ患者の末梢血から得たCD4陽性T細胞を用いて、FGFR1を介したT細胞機能変化をIn vitroアッセイを用いて解析する。
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Causes of Carryover |
マウス関節炎モデルの予備実験結果から、実験計画を変更する必要が生じたため本年度に使用する研究費が少なくなった。 マウスの代わりにヒト細胞を用いた実験を次年度に計画しており、繰り越した研究費を当てる予定である。
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