2022 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチにおけるHLAとサイトカイン濃度による層別化医療の構築
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21K16299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 眞璃子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60816601)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / HLA |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ (Rheumatoid Arthritis : RA) の治療は、生物学的製剤 (bDMARDs) やJanas kinase (JAK) 阻害薬の開発・承認により劇的に改善した。現在数多くのbDMARDsやJAK阻害薬が使用可能となっているが、薬剤選択の際に用いることのできる製剤ごとの治療反応性予測の指標は乏しく、治療recommendation上では各bDMARDsやJAK阻害薬は同等の選択肢として列挙されている。RAの治療反応性予測において、現時点で最もよく検討されているゲノムバイオマーカーはHLA遺伝子である。HLA-DRB1遺伝子はRAの遺伝的リスクの30-50%を説明する最も強力な疾患感受性遺伝子であり、HLA-DRB1アレルのアミノ酸配列のうちposition 70-74の特定の配列はshared epitope (SE) と称され、RAの発症や病態に関与していると考えられている。 本年は、HLA-DRB1アレルによるbDMARDsの治療反応性について、さらに統計的な解析を行なった。その結果、bDAMRDsによる治療開始3ヶ月後の疾患活動性(SDAI)の改善率に有意差がが認められたのは、アバタセプト(ABT)使用におけるSEアレルの一つHLA-DRB1*04:05のみであった。また、重回帰分析にて、HLA-DRB1*04:05が、抗CCP抗体力価とは無関係にABTの治療反応と関連していることが示された。 ABTはT細胞の共刺激を阻害することで抗炎症効果を発揮する薬剤である。これまで、HLA-DRB1のSE陽性例でABTに対する治療反応性が良いとする複数の報告がある。 今回の検討から、SEアレルの中でも特にHLA-DRB1*04:05が明確なABTの予後良好予測因子であること考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
追加の解析を実施したため、新たな患者リクルートが遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
対象患者のリクルート、HLA遺伝子座の検査の実施、解析の実施を進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度は解析が中心となり新たな患者リクルートができなかったため、次年度に検査を実施する予定である。
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