2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of pathogen survival factors
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21K16326
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
廣瀬 亮平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50795383)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感染制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1年目の2021年は、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスにおける皮膚上の消毒効果の正確な評価を行った。 研究2年目の2022年は、次に示すようにウイルスに対する残留消毒効果の解析を行った。 まず、手指衛生に使用される消毒薬を手に塗布して乾燥した後も消毒効果が残存する(残留消毒効果がある)か、正確に評価できるモデルを構築し、手指衛生に使用される消毒薬の残留消毒効果を評価した。その結果、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール系消毒薬には残留消毒効果がほとんど認められなかった。一方でグルコン酸クロルヘキシジン・塩化ベンザルコニウムなどの消毒薬には残留消毒効果が認められた。また、比較的高濃度である0.2%塩化ベンザルコニウムは特に強い残留消毒効果を示し、新型コロナウイルス、ヒトコロナウイルス、インフルエンザウイルスの生存時間を、それぞれ665分から5分(1%未満)、1285分から12分(1%未満)、121分から4分(3%)に短縮し、この強い残留消毒効果は皮膚に塗布した後、長時間(4時間程度)にわたり維持された。 以上のように、強い残留消毒効果を持つ消毒剤を皮膚に塗布することで、ウイルスが生存しにくい皮膚表面を創出することができ、現行の手指衛生を強力にサポートする革新的な接触感染予防法となることが明らかになった。さらに教授、感染病態学 中屋隆明教授ら研究グループは、新型コロナウイルスの初期株(武漢株)と5種類の懸念される変異株(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、オミクロン型)における環境安定性および エタノールによる消毒効果の違いを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現段階では順調にデータ採取が進んでおり、論文化も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年は、ウイルスに対する残留消毒効果の解析を行った。このデータに基づき、2023年は黄色ブドウ球菌(MRSAも含む)、大腸菌(O-157などの腸管出血性大腸菌も含む)、セラチア菌などのバクテリアに対する残留消毒効果の評価系構築を行っている。 最終的に、ウイルスだけでなくバクテリアの生存に適していない皮膚環境の創出方法の開発を目指している。
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Causes of Carryover |
今年度は既存の解析器機で代用できる解析があったこと、バクテリアに対する残留消毒効果の評価系構築に時間を要し次年度に延長となること、が次年度使用額が生じた理由である。
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