2022 Fiscal Year Research-status Report
Characterization of bacteriophage virulence for persister cells
Project/Area Number |
21K16331
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
近藤 恒平 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 研究員 (60896554)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バクテリオファージ / パーシスター |
Outline of Annual Research Achievements |
パーシスターとは代謝の低下に伴い増殖が抑制された細胞小集団のことで、抗菌薬に対して抵抗性を示す。抗菌薬を除くと再び増殖を始めるが、元の集団と同じく抗菌薬に対して感受性を表す。 パーシスターに対するファージの殺菌効果を詳細に調べるために、代表的なファージ(T1、T4、T5、T7)を用いて様々な環境条件下における殺菌能力を調べた。ほとんどのファージ(T1、T4、T7ファージ)がさまざまな環境条件下で存在するパーシスターを殺菌することがわかった。さらに、抗菌薬に細菌を暴露した後に残存したパーシスターに対してはT4とT7が効率よく殺菌した。一方で、T1ファージは抗菌薬に暴露して生き残った細胞を殺菌することができなくなっていた。一段階増殖実験を行ったところ、T1ファージは特定の抗菌薬の存在下で子ファージを全く生産しないことが示された。 パーシスターは環境の変化により通常の細胞の代謝に復帰するため、培地上ではファージの感染がパーシスターの状態の細胞で成立したのか、通常の細胞活動に復帰した際に成立したのかを区別することが困難である。そこで、ファージの殺菌効果を即時的に観察するために、細菌の代謝活性を測定する試薬で染色し、顕微鏡下でファージと混合して観察したところ。代謝活性の高い菌に対しては100%に近い効率で殺菌したが、低代謝活性の細菌の40%程度がファージによって直ちには殺菌されないことがわかった。おそらくファージは低代謝活性の細胞に吸着しているものの細菌の活性が低すぎるためファージが増えることができないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に計画していた通りに、複数のファージに対するパーシスターの殺菌効果を様々な環境条件下で評価し、自然由来のファージがパーシスターに対して強い殺菌効果を示すことがわかってきた。また、当初予定していたライブイメージングを用いたパーシスターへの即時的な感染の評価も行うことができた。ライブイメージング解析により、低い代謝を有する細胞のうち、60%程度がファージによって殺菌される一方で、一部殺菌されない細胞も存在することが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析は大腸菌K12株のみで解析を行なってきたため、今後は当初の計画通りに近年問題となっている臨床由来の薬剤耐性菌を宿主とし、それらに感染するファージを採取して、殺菌能力を評価していきたい。、
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Causes of Carryover |
当初の計画を変更し、新奇ファージの単離ではなくライブイメージング解析を優先した。今後は様々な種の耐性菌を指示菌としてファージを単離し、そのゲノム解析を進める予定であり、単離に必要な消耗品とシーケンス代に助成金を使用する予定である。
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