2022 Fiscal Year Research-status Report
M2マクロファージの除去によるインスリン抵抗性改善薬の開発
Project/Area Number |
21K16338
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
五十嵐 喜子 富山大学, 学術研究部医学系, 特命助教 (30837688)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪組織に在住するマクロファージは脂肪細胞の機能を調節する作用を有する。これまで、M2 マクロファージは非肥満時に抗炎症性のサイトカインを放出し、インスリン感受性の維持に関与すると考えられてきた。しかし、最近の研究では M2マクロファージは前駆脂肪細胞の増殖と分化に直接働きかけ、インスリン感受性を制御することが明らかとなってきている。本研究は、M2 マクロファージの増殖能を制御することで、細胞の分化はどのように調節されるのかを検証し、M2マクロファージの増殖因子を明らかにすることを目的とする。また、これらの知見をもとに、従来の薬剤とは 異なる新たなメカニズムを有する抗肥満・抗糖尿病薬の開発に着手する。 2022年度はM2 マクロファージ(M2Mφ)の増殖能が細胞の分化にどのような影響を与えるのかを検討するため、M2Mφを任意のタイミングで減少させるマウスやM2 Mφを任意のタイミングで増加させる遺伝子改変マウスを作製し繁殖させた。今後はこれらのマウスの解析を行う。 また、M2マクロファージは肥満・糖尿病といった代謝疾患の治療ターゲットとなり得ると考えており、現在、治療薬の開発に向けた研究を進めている。この開発品の投与によって、肥満糖尿病モデルマウスの耐糖能の改善 やインスリン抵抗性の改善が起こることは2021年度までに確認できており、2022年度はこの耐糖能の改善 やインスリン抵抗性の改善の作用機序を組織免疫染色法による解析、リアルタイムPCRによる遺伝子発現の解析により明らかにした。今後はさらにこの治療薬の改良を進めて行きたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物の繁殖の遅れにより、遺伝子改変マウスの実験を2023年度に持ち越してしまったが、M2マクロファージ をターゲットとした治療薬の検討は当初の予定より早く進んでいるため、研究は概ね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改変マウスが得られたので、M2マクロファージの増減により、細胞の分化にどのような影響があるかを解析する予定である。 各、遺伝子改変マウスに普通餌または高脂肪食を負荷し、グルコース負荷試験・インスリン負荷試験により耐糖能やインスリン抵抗性の変化を確認し、脂肪組織は組織免疫染色法による解析、リアルタイムPCRによる遺伝子発現の解析、フローサイトメトリーによりM2マクロファージの増殖能と脂肪組織の分化について解析を進める。
|
Causes of Carryover |
当初、予定していた学会等の旅費に支出する機会がなかったため、15万円程度の次年度使用額が残った。
|