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2022 Fiscal Year Research-status Report

外因性ケトン体生成物によるレプチン抵抗性改善メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 21K16358
Research InstitutionJichi Medical University

Principal Investigator

礒田 雅代  自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (20743173)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords肥満 / レプチン抵抗性 / ケトン体 / 1,3-ブタンジオール / 視床下部 / 小胞体ストレス / ATP / 中鎖脂肪酸オイル
Outline of Annual Research Achievements

食事誘導性肥満(DIO)マウスにおいて1,3-ブタンジオール(BD)投与により摂食量および体重増加は抑制された。また、BD投与によりDIOマウスの視床下部におけるERストレスマーカーの発現は抑制された。さらに、BD投与によりDIOマウスのレプチン抵抗生は改善した。そこでこのBD投与による摂食量および体重増加の抑制がレプチン作用の改善を介したものであるかを確認するためにレプチン欠損肥満モデルであるob/obマウスに対してBD投与を行った。ob/obマウスにおいてもBD投与により血中ケトン体濃度および視床下部ATP濃度の上昇は確認されたが、摂食量および体重増加の抑制は認められなかった。その一方でob/obマウスにおいてもBD投与により視床下部におけるERストレスマーカーの発現は抑制され、外因性レプチンに対する反応性も増強が認められた。以上より、BD投与による摂食量および体重増加の抑制にはレプチンが必要であることが確認された。BDによる血中ケトン体濃度の上昇は視床下部ATP濃度の上昇およびERストレスの抑制をもたらしレプチン感受性の改善を介して摂食量および体重増加を抑制するものと考えられた。そこで次にBDと同様に経口投与で血中ケトン体濃度および中枢神経系におけるATP濃度が上昇することが知られている中鎖脂肪酸オイル(MCT)を用いて同様の検討を行った。MCT投与によりDIOマウスの血中ケトン体濃度および視床下部ATP濃度が上昇することを確認した。しかし、BDとは異なりMCT投与による摂食量および体重増加の抑制は認められなかった。今後、BDと同様に血中ケトン体濃度および視床下部ATP濃度を上昇させることができるMCTで摂食量および体重増加抑制作用が認められない原因について検討する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

我々はこれまでにマウスにおいて1,3-ブタンジオール(BD)投与が血中ケトン体濃度および視床下部ATP濃度の上昇をもたらし、視床下部におけるERストレスの抑制および視床下部におけるレプチン感受性の改善を介して、摂食量および体重増加を抑制することを明らかにしてきた。そこで次にBDと同様に経口投与により血中ケトン体濃度および中枢神経系におけるATP濃度が上昇することが知られている中鎖脂肪酸オイル(MCT)を用いて同様の検討を行った。MCT投与によりDIOマウスの血中ケトン体濃度および視床下部ATP濃度が上昇することを確認した。しかし、BDとは異なりMCT投与による摂食量および体重増加の抑制は認められなかった。その原因の一つとして、MCTによるアシル化グレリンの増加が考えられる。グレリンは胃から分泌される摂食促進物質であるが、グレリンの活性化には、GOAT(Ghrelin O-acyltransferase)によるアシル化が必要である。MCTからアシル基が作られること、MCTの経口投与がグレリンのアシル化を促進することが報告されている。実際に、これまでの予備検討においてマウスにおいてMCT投与により血中のアシル化グレリン濃度が上昇することを確認した。以上より、MCTは視床下部ATP濃度上昇を介して視床下部におけるERストレスの抑制およびレプチン感受性改善に作用する一方で、摂食促進物質であるグレリンの活性化も促すため、BDとは異なりMCTは摂食量や体重増加を抑制しないものと考えられた。

Strategy for Future Research Activity

我々はこれまでに、MCTと同様に経口投与により血中ケトン体濃度および視床下部ATP濃度が上昇する1,3-ブタンジオール(BD)投与ではマウス視床下部のERストレスやレプチン抵抗性が抑制されることを明らかにしてきた。一方、MCT経口投与では、血中ケトン体濃度や視床下部ATP濃度は上昇するものの、マウスの摂食量や体重に有意な変化は認められなかった。この理由として、MCT経口投与ではグレリンのアシル化すなわち活性化が促進されるため、アシル化グレリンによる摂食促進作用が血中ケトン体濃度や視床下部ATP濃度上昇による視床下部ERストレスやレプチン抵抗性改善による摂食抑制作用を打ち消している可能性が考えられる。
そこで今年度は、まず血中アシル化グレリン濃度を測定し、MCTを投与したDIOマウスにおいて血中アシル化グレリン濃度が上昇していることを確認する。また、アシル化グレリンは視床下部に発現するNPYを介して摂食促進作用を発揮することが知られている。そこで、視床下部におけるNPYの遺伝子発現を検討する。DIOマウスにおけるMCT投与の視床下部におけるERストレスおよびレプチン感受性に及ぼす影響についても検討する。DIOマウスに体重や糖脂質代謝に明らかな影響を及ぼさない3日間のMCT投与後、視床下部を採取し、CHOPやXBP-1などのERストレスマーカーの発現を検討する。また、レプチンを腹腔内に単回投与しレプチンの摂食抑制作用や視床下部でのレプチン受容体のシグナル分子であるSTAT3のリン酸化を検討する。さらに、レプチンおよびグレリンの下流で動く摂食調節ペプチドについてMCT投与時の視床下部における発現変化を検討する予定である。

Causes of Carryover

我々はこれまでに、MCTと同様に経口投与により血中ケトン体濃度および視床下部ATP濃度が上昇する1,3-ブタンジオール(BD)投与ではマウス視床下部のERストレスやレプチン抵抗性が抑制されることを明らかにしてきた。そこで、血中ケトン体濃度および視床下部ATP濃度の上昇がレプチン抵抗性改善に作用することを確認するためにBDと異なるもので血中ケトン体濃度および視床下部ATP濃度を上昇させたときにBDと同様にDIOマウスの視床下部におけるレプチン抵抗性が改善し摂食量や体重増加が抑制されるかどうかを検討しようと考えた。中鎖脂肪酸オイル(MCT)は経口投与によりBDと同様に経口投与により血中ケトン体濃度および中枢神経系におけるATP濃度が上昇することが知られている。そこでDIOマウスにMCT投与を試みたが予想に反してMCT投与では摂食量および体重増加が抑制されなかった。このため、この原因を検討する必要が生じ、研究機関を延長することとした。この原因として文献的考察よりMCTによるアシル化グレリンの増加を考えており、そこで今年度はMCTによるアシル化グレリンがMCTによるレプチン抵抗性改善作用による摂食量および体重増加の抑制を打ち消すメカニズムについて検討する。

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Published: 2023-12-25  

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