2021 Fiscal Year Research-status Report
膵島血流に着目したGLP-1の新規作用機序の解明:In vivo画像による検討
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21K16360
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
木村 友彦 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50454830)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵島 / 血流 / GLP-1受容体作動薬 / SGLT2阻害薬 / 虚血 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
①【急性投与:正常血糖マウス】β細胞特異的にEGFPでラベリングしたB6.Cg-Tg(Ins1-EGFP)1Hara/J マウスの膵臓を露出させ、生存下にGLP-1受容体作動薬(リラグルチド)を投与し、顕微鏡にて膵島周囲血管径、血流を評価した。さまざまな濃度で検討しているが、単発の急性投与では現在のところ明らかな血管系の変化は認めていない。
②【急性投与:糖尿病マウス】同マウスに対し、低用量ストレプトゾトシン(STZ)を投与し糖尿病を誘発し、4週間経過した後に、顕微鏡観察下でGLP-1受容体作動薬を単会投与した。現段階では有意差はないものの、投与後の血管径は拡張傾向である。今後、サンプル数を増やしていき、またSGLT2阻害薬の単回投与を行っていく。
③【慢性投与:糖尿病マウス】同マウスに対し、低用量ストレプトゾトシン(STZ)を投与し糖尿病を誘発し、コントロール群、GLP-1受容体作動薬群、SGLT2阻害薬群に群分けし、4週間薬剤介入を行った。その後、顕微鏡下で膵島周囲血管径と血流を評価したところ、現時点でGLP-1受容体作動薬群にて血管径が大きい傾向がみられる。また、血流も他2群に比べ、保たれている傾向であるが、検討数がまだ少なく有意差は見られていない。今後サンプル数を増やして検討していく。 これらの結果から、健常マウスへのGLP-1受容体作動薬の急性投与では、膵島周囲血流への影響は見られないものの、糖尿病状態でのGLP-1受容体作動薬の投与は血管拡張に影響する可能性がある。また、糖尿病状態での慢性投与においては、膵島周囲血流を維持すること示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスの自家繁殖を行っているが、想定に比べ出産数がすくなく、また出産しても親マウスの育児放棄から実際に実験に使用できる個体が少ない状況である。以上から当初の計画からやや遅れているものの、大きく3つの実験系【急性投与:正常血糖マウス】【急性投与:糖尿病マウス】【慢性投与:糖尿病マウス】は、nは少ないながらも少しずつ進んでいる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、【急性投与:正常血糖マウス】【急性投与:糖尿病マウス】【慢性投与:糖尿病マウス】を進めていく。【急性投与:糖尿病マウス】では、血管径の拡張がみられている。 その現象がGLP-1受容体を介した作用であることを明確にするためには、NO合成酵素阻害薬を使用した状態で血管径の拡張がみられないのか確認する必要がある。また、血管拡張がNOの産生によるものなのか、DAF(蛍光指示薬)の使用も検討する。
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Causes of Carryover |
マウスの繁殖が予想よりも遅れたため、使用試薬、Elisaキットが想定よりも少なく、次年度使用額が生じた。 次年度使用額はインスリンElisaキットの購入やストレプトゾトシン等の購入に使用予定。
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