2021 Fiscal Year Research-status Report
新規グルカゴン分泌制御機構に着目した生活習慣病治療法の開発
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21K16362
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
須賀 孝慶 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40848686)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グルカゴン / 脂肪肝 / 肥満 / 糖尿病 / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
グルカゴンは膵α細胞から分泌される血糖上昇ホルモンとして知られるが、他にも食欲抑制、脂肪分解促進、基礎代謝亢進といった抗肥満作用がある。しかしグルカゴン分泌のメカニズムは十分に解明されていない。膵α細胞におけるグルコース取り込みは、これまでグルコース輸送体(GLUT)-1のみが担っていると考えられていた。しかし最近我々は、膵α細胞にはNa+と一緒にグルコースを細胞内に共輸送するナトリウム/グルコース共役輸送体(SGLT)-1が発現していることを報告した。また培養α細胞株を用いたin vitro実験において、SGLT特異的基質であるメチル-α-D-グルコピラノシド(αMG)が細胞内Ca2+濃度上昇を伴ってグルカゴン分泌を制御していることも併せて見出した。しかしながら、生体内(in vivo)において膵α細胞SGLT-1が内因性グルカゴン分泌に影響しているかは不明である。 本研究では、SGLT特異的基質である(αMG)を用いて、BL/6Jマウスの血中グルカゴン濃度を評価した。αMGをBL/6Jマウスに投与して採血を行ったところ、controlと比較して有意な血中グルカゴン濃度の上昇が認められた。またこの効果はSGLT阻害剤の併用によってキャンセルされた。これらの研究結果から、膵α細胞SGLT-1が生体内においても実際に内因性グルカゴン分泌を制御しているという、新規グルカゴン分泌制御機構の存在が示唆された。さらに糖尿病病態では膵α細胞SGLT-1の発現量が増加していることを見出し、糖尿病モデルマウスではαMG誘導性の血中グルカゴン濃度がより顕著に上昇した。今後はαMG誘導性グルカゴン分泌による生体への生理作用の解析を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りマウス表現型の解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
SGLT特異的基質であるαMGを用いることで、生体内においても膵α細胞SGLT-1がグルカゴン分泌を制御していることが示唆された。今後は当初の実験計画通り、αMG誘導性のグルカゴン分泌が、生体にどのような生理的影響を及ぼすかの表現型解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初想定していたよりも消耗品の購入単価が抑えられたため、未使用額が生じた。次年度に使用する消耗品の購入経費に充て、効率的かつ計画的に使用する予定である。
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