2021 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞プロスタシンによるインスリン分泌制御機構と増殖維持効果の解明
Project/Area Number |
21K16367
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
石井 俊史 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (50835957)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | プロスタシン / 膵β細胞 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
1.EGFRへの直接的関与の証明 β細胞においてPRSS8によるEGFRへの関与を明らかにするため以下の実験を実施した。MIN6細胞において低グルコース、高グルコース、高グルコース+特異的EGFR阻害薬erlotinib存在下におけるEGFRのリン酸化を、ウエスタンブロットを用いて比較した。その結果、PRSS8発現抑制状態では、高グルコース条件下において生じるEGFRのリン酸化が抑制されていた。反対に、PRSS8過剰発現状態ではEGFRリン酸化が増強されていた。また、プロスタシン発現抑制状態では、グルコースやEGF投与によるインスリン分泌が有意に抑制されたが、erlotinibを投与することでこれらの差がキャンセルされた。これらの結果から、プロスタシンがEGFR活性を調節し、インスリン分泌を制御することが示唆された。
2.PRSS8によるβ細胞増殖維持効果の解析 PRSS8によるβ細胞増殖維持効果を明らかにするため、以下の実験を実施した。MIN6細胞を用いて、Cell counting kit-8(DOJINDO)を用いて、細胞増殖量を比較すると、PRSS8発現抑制状態では、培養開始から3日目、7日目のタイムポイントにおいて、有意な抑制が認められた。また、PRSS8過剰発現細胞とプロテアーゼ活性を消失させたPRSS8過剰発現細胞の比較では、活性の消失によって細胞増殖量が有意に低下していた。これらの結果から、プロスタシンがβ細胞増殖に関与することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症による研究活動の制限や、当大学における動物施設の改修工事による動物実験実施の制限があったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
既存の研究計画に従い、研究を推進する。本年度の実験結果から、EGF-EGFRシグナルが関与するEGF誘導性インスリン分泌がグルコース刺激性インスリン分泌の一部(補助経路)であることが示唆された。次年度に追加する課題として、EGF誘導性インスリン分泌がどの程度寄与しているのかを示すことで、プロスタシンによるインスリン分泌促進の重要性を示す。
|
Causes of Carryover |
本年度新型コロナウイルス感染症による研究活動制限と動物実験施設改修工事による動物実験の制限によって予定していた研究計画を遂行できなかったため次年度使用額が生じた。この使用計画としては、既存の研究計画に従い使用することと、2022年6月に開催される第82回米国糖尿病学会学術集会に参加し、口頭発表を予定しており、これに使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)