2021 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞におけるユビキチン様修飾因子UFM1の役割の解析
Project/Area Number |
21K16373
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鵜澤 博嗣 順天堂大学, 医学部, 助教 (50848174)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | UFM1 / UFMylation / 膵β細胞 / ERストレス / インスリン分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、2型糖尿病の発症・進展を規定する膵β細胞機能不全に着目し、これまで研究を続けてきた。インスリン抵抗性は2型糖尿病の発症のトリガーとなる重要な病態であり、その増大は膵β細胞のインスリン合成を顕著に増加させることにより、ミスフォールドされたインスリン分子によるERストレスを惹起する。したがって、ERストレスに対して適切な応答を欠く場合には膵β細胞の恒常性が障害され、その機能不全により個体レベルでは糖尿病の発症に至ることが想定される。 一方で、ユビキチン様修飾因子 (UFM1) によるタンパク翻訳後修飾であるUFMylationは、小胞体 (ER) ストレス応答やオートファジーと関係することが近年注目されている一方で、その生理的意義は未解明な点が多い。ERストレス応答の制御においてUFMylationの関与が報告されており、UFMylationは膵β細胞の恒常性維持に重要な役割を果たすことが想定されるが、この機構と糖代謝恒常性との関連を示した報告はほとんどない。そこで本研究では、主に膵β細胞特異的UFM1ノックアウト (UFM1-βKO) マウスを用いた解析により、膵β細胞においてUFMylaitonが担う役割を解明することを目的とした。 これまでに、UFM1 flox/floxマウスとIns1プロモーター下にCreリコンビナーゼを発現するIns1-Creマウスを交配し、UFM1-βKOマウスを作製し、耐糖能およびインスリン感受性を解析した。UFM1-βKOマウスは対照群と比較して経時的に耐糖能が増悪する一方、インスリン感受性は両群で同等であった。膵臓の組織学的検討を行ったところ、UFM1-βKOマウスでは膵島数の減少とインスリン陽性細胞の減少を認めていることから、膵β細胞の機能障害が惹起されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従ってUFM1-βKOマウスを作出し、耐糖能およびインスリン感受性を解析した。その結果、当初の仮説通りUFM1-βKOマウスは対照群と比較して、経時的に耐糖能が悪化することを見出した。 また、UFM1-βKOマウスにおける膵組織所見の変化についてpreliminaryな所見を得ることができた。 以上から、UFM1-βKOマウスの解析は計画通り進捗しており、本研究課題は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、UFM1-βKO マウスの解析を通じて、UFM1が膵β細胞の恒常性維持に深く関与していることを明らかにした。今後は、UFM1欠損によるERストレス制御不全が膵β細胞を惹起するという仮説を分子レベルで検証するため、以下のような実験を計画している。 膵β細胞株であるMIN6細胞において、CRISPR/Cas9システムによるUFM1 KO株を樹立する。UFM1 KO MIN6細胞を用いて、ERストレス応答機構であるIRE1やPERK経路の活性化の有無、それぞれの下流のシグナル伝達を介して制御される分子シャペロンの発現や細胞死の制御について検討する。さらに、ER恒常性維持機構である小胞体関連分解 (ERAD) の活性化やERファジーの誘導など、多様なストレス応答機構についても検討を行う。 これらの検討により、UFM1を介したERストレス制御の分子メカニズムを明らかにすることができると考えている。
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