2021 Fiscal Year Research-status Report
脳幹-視床下部ネットワークを介した栄養シグナルによる摂食・代謝の制御基盤の解析
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21K16374
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
永嶋 宇 東京慈恵会医科大学, 医学部, ポストドクトラルフェロー (80896233)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 栄養シグナル / 摂食行動 / 腕傍核 / 視床下部 / 代謝疾患 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
地球上の生物において「栄養」は必須であり、動物における脳神経系は栄養状態に応じて摂食行動や代謝を的確に調節し、個体の生存に有利に働いている。末梢組織における栄養シグナルは、神経伝達やホルモンなどの液性因子を介して中枢の脳幹や視床下部に伝達される。興味深いことに、脳幹と視床下部の間には相互連絡が存在することは古くから知られているが、その生理的意義は未だ不明な点が多い。また、これまでの研究から、脳幹の腕傍核と視床下部は摂食行動に関与すると共に、逃避行動や疼痛制御などの情動にも関わることが知られている。栄養制御と情動制御は従来の研究では別々の視点から捉えられがちであったが、摂食・代謝異常と精神疾患との関連が示唆されているように、両者の連関メカニズムの解明も必要である。そこで、本研究ではマウスの脳幹-視床下部ネットワークに着目して解析を行い、栄養シグナルによる行動・代謝の制御基盤の解明を目的とする。本年度は、腕傍核から視床下部への投射回路について、組織学的、電気生理学的手法を用いて解析した。また、光遺伝学的手法を用いた行動実験により、腕傍核-視床下部ネットワークと摂食行動との関係性を見出した。さらに、情動行動との関連についても解析を進め、関与する細胞種の絞り込みを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は腕傍核から視床下部への投射回路を同定し、その摂食行動や情動行動への関与を見出した。さらに、経路・細胞種特異的な特性を電気生理学的および組織学的アプローチで解析しており、研究はおおむね順調に進んでいる。また関連する分子の絞り込みを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は摂食行動、情動行動およびその連関に関与する知見を発展させ、腕傍核や視床下部における細胞種の絞り込みを行う。また、現在解析を進めている視床下部の下流ターゲットについても解析を進めることで、回路メカニズムを明らかにする。さらに、遺伝子改変マウスを用いた解析系を構築し、代謝関連分子との関係性を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの感染拡大による一部実験の遅延や学会参加の見送りが発生したため、次年度使用額が生じた。次年度において、実験器具の購入や学会参加に関わる経費として使用予定である。
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Research Products
(1 results)