2023 Fiscal Year Research-status Report
血中循環腫瘍DNAを用いた甲状腺乳頭癌の新たな治療戦略基盤の構築
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21K16382
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田中 彩 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (50893244)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、cfDNAの検出感度に問題があり、以下の二つの手段を同時並行して行うこととした。(a) cfDNA解析手法の改良を行い感度を上げる方法を検討しつつ、(b) 治療抵抗性そのものの機序を明らかにするため、放射性ヨウ素治療等を施行し、様々な治療反応性を示した多くの症例の腫瘍サンプルを解析するため、それらの手術標本の収集も同時に行なうこととした。 (a)について、TERTプロモーター領域を増幅するPCRプロダクト長を90ベース未満とかなり短くなるようにプライマーを再度設計し直した。かなり古いホルマリン固定DNAを用いて検証したところ、これまでよりもかなり高い感度で、これまでの手法では検出できなかった試料でも検出可能となった。しかしながら、これを用いて血液サンプルを解析したが、十分と思える感度は得られなかった。これについて、cfDNAはDNAの領域によって血液中に遊離してきやすさに違いがあるとする報告もあるが、未だ問題の解決には至っていない。 (b)について、前年度の残り約30例について、術後の腫瘍組織ホルマリン固定パラフィン包埋切片の収集を行った。さらにこれら症例について詳細な臨床病理学的情報の収集も行なった。また、別の共同研究施設より、約150例の症例について、腫瘍組織ホルマリン固定パラフィン包埋切片の収集を行う予定としている。収集した試料からは順次DNAの抽出を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度もcfDNAについて、特にTERTプロモーターの変異解析で十分な感度が得られなかった。しかし、代替手段として開始した腫瘍組織の収集は、これも多少遅れたものの、十分な症例数が確保できそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍組織DNAの変異解析と臨床病理学的指標との関連解析を進め、放射性ヨウ素治療抵抗性に関与する分子の同定を進める。
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Causes of Carryover |
cfDNA中のcirculating tumor DNA (ctDNA)変異の検出感度が悪く、あまり実験を進めることができなかった。次年度は、腫瘍組織の解析をさらに行っていく予定である。
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